経産省 積極的な分野別支援で、日本経済を成長ルートに乗せる

世界的な競争激化と、気候変動・地政学的な不確定要素が増える中で、各国でイノベーションに向けた政府の支援がトレンドになっている。日本でも、企業の設備投資意欲アップ・賃金上昇などの変化を機会に、失われた30年からの脱却を目指した施策が2024年に実行に移されていく。

飯田 祐二(経済産業省 経済産業事務次官)

2024年に向けた経済産業省の施策を紹介するに先立ち、経済産業事務次官の飯田祐二氏は「今、世界各国の経済産業政策が大きな転換期を迎えています」と指摘した。社会的、経済的な課題の解決に向けて、政府が積極的に介入する傾向は強まっている。それにより、民間投資を拡充し、イノベーションを促そうとしているのだ。

日本もこの潮流に乗るため、2021年から「経済産業政策の新機軸」を発表し、それぞれの分野での活動を始めている。2023年6月の「新機軸」第二次中間整理においては、マクロ環境の変化を受けて、失われた30年と決別するための潮目の変化が起きていると指摘している。長らく日本企業は国内に投資はしないとされてきたが、国内での企業の設備投資意欲は1983年以来最高になっている。今年度の投資額は1991年以来初めて100兆円を超える見通し。賃金も上がり始めている。

「日本企業は長らく、既存事業のコストカットで利益を絞り出していました。イノベーション創出に舵を切り、リスクを取って挑戦してもらうために、国として高い目標を示すとともに、支援策を打ち出しています」と飯田氏は説明する。例えば2050年に脱炭素社会を実現する、という野心的な目標を達成するための支援措置として、2兆円にのぼるグリーンイノベーション基金を2021年に組成し、資金需要を踏まえて積み増すことで、2023年末時点で2兆7500億円規模になっている。

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