「異次元の少子化対策」分析 出生率上昇のカギとなる支援施策

岸田首相が2023年1月に表明した「異次元の少子化対策」の施策が24年度から本格的にスタートする。株式会社大和総研主任研究員の是枝俊悟氏に子育て世代に関連した2024年の経済予測について語ってもらった。

是枝 俊悟(株式会社大和総研 主任研究員)

女性が正社員として
働き続けやすい環境づくりを

「異次元の少子化対策」の施策は「両立支援・働き方関連」「保育・幼児教育」「児童手当の拡充」「その他の給付拡充策」の4つに分けられる。大和総研では、これらの施策をすべて実施した場合、合計特殊出生率は最大で0.36上昇すると試算している。

施策の中でも注目を集めているのは24年10月からスタートする「児童手当の拡充」で、児童手当の所得制限の撤廃、高校卒業までの支給期間の延長、第三子以降への支給額の3万円への倍増などが盛り込まれている。是枝氏は「この拡充策で恩恵を受けるのは、もともと所得制限がかかっていた世帯と高校生、第三子がいる世帯です。給付が増える世帯自体がそれほど多くないこと、また、これから子どもを持とうとする人への給付が大きく増えるわけではないという点で効果は限られる」と指摘する。

一方で、出生率上昇へ大きな効果をもたらすと期待するのが「両立支援・働き方関連」の施策だ。具体的には、育児休業給付金の給付率について、14日以上の育休取得を条件に、最大28日間の給付率が、現行の67%(手取りで8割相当)から8割程度(手取り10割相当)に引き上げられる(実施は25年度からを予定)。大和総研では、2010年度から2020年度の10年間で、両立支援予算の出生率引き上げ効果(対GDP比で1%ポイント増加あたり)を0.66と推計しており、他の3つの施策の引き上げ効果(0.11~0.27)に比べて非常に大きいことを示唆している。

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