スタートアップ百花繚乱 脱炭素社会の大企業を目指す

脱炭素社会の実現に欠かせないイノベーション、その担い手となるのは活力にあふれたスタートアップだ。空きスペースや廃棄される資源の活用から、高度先端技術の実装まで、そのビジネスはさまざま。将来の事業を考える際には、有望な先行企業の事業内容や戦略が参考になる。

①生ごみを資源として活用し農家が抱える水問題の解決へ
EF Polymer

おむつなどに使われる一般的なポリマーは、アクリル系ポリマーなど化学合成されたものが大半であるため、生分解(微生物の消費活動によって物質が分解され、自然に還ること)せず土壌を汚染したり、土壌成分と化学反応し吸水力を失うため、農業資材に適していないという。そこでEF Polymerは、2年半の開発期間を経て、野菜や果物の皮など生ごみを原材料としたオーガニック原料100%の吸水性ポリマー(SAP)を開発。同社の粉末状SAPは、水を混ぜるとゼリー状になり、土壌内で完全分解される。自重の100倍の水を保持でき、土壌投入すると保水力と肥料保持力が高まるため、40%の節水と20%の肥料削減が期待できる。

同社では、年間降水量が少なく灌がい設備の普及が遅れているインドやネパール、日本など、国内外3000 以上の農家に商品を提供し、水不足などの農業に関わるグローバルな環境問題の解決に取り組んできた。SAPは農業以外にも、おむつや生理用品、廃血液固化剤、ペットシート、土のう・簡易トイレなど様々な用途に活用できるため、今後は医療や介護分野、防災分野への進出を見据えている。

EPポリマーの有無で生育に差が出る

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