『事業構想原論 理念を基軸とした価値構想の体系』
『事業構想原論
理念を基軸とした価値構想の体系』
- 東 英弥 著
- 本体2,800円+税
- 学校法人先端教育機構
- 2026年1月
事業構想大学院大学、社会構想大学院大学を開学し、学校法人先端教育機構の理事長として実務と教育研究の融合を推し進めてきた著者。その知見を結実させ、「事業構想」を新たな学問領域として体系化したのが本書だ。
本書の出発点には、日本の長期停滞の深層に「構想力の空洞化」という構造的課題を見出す鋭い問題意識がある。効率化と短期的成果への過度な傾斜が、企業から未来を描く力を奪ってきた。本書は、その病理への処方箋の根拠を、日本の産業史と思想史の中に丹念に見出し、渋沢栄一、松下幸之助らの偉業や近江商人の理念等に「構想の叡知」の源流を探り、そこから普遍的な理論を編み上げようとする。この方法論的自覚が、本書を単なる提言から学術的体系書へと押し上げている。
序論「構想力の復権」に始まり、学術的基礎、構成原理、プロセスと方法、理論の射程と応用へと展開する。全篇を貫くのは、「構想」を属人的な直感や経験則の領域から引き離し、再現可能な知の体系として定位しようとする姿勢だ。経営学や社会学をはじめ、国内外の膨大な先行研究に照らしながら、事業構想学は何を目指し、いかなる手法でそこに至ろうとするのかを明確に描き出す。
そこで「事業構想」は、「我々は何をなすべきか」「どうあるべきか」の全体像を描き、それに向かって事業を創造し、実践していく営みと定義される。この「青写真」の存在が、偶発的なアイデア発想とは一線を画し、より戦略的で、持続性の高い価値創造へと進展させるというのだ。
この意味での「構想」は、優位性あるプロダクト、価値共創の市場、理念を具現化する組織能力という三つの構成原理を骨子とする。そしてこの構成原理は、理論と実践を螺旋状に往還させながら構想を練り上げていく「事業構想サイクル」という動態的な方法論へと展開する。本書ではこのサイクルの新規事業開発等における実践例も示される。
理論と実践の不断の往還を前提とする「知」。これは、明治の近代化以降、西洋の学問体系を受容しつつも独自の発展を遂げてきた日本の知的営為そのものを再構築しようとする試みである。さらに著者は、日本固有の文脈から出発したこの理論体系を、グローバルな社会にも貢献しうる普遍的な知に鍛え上げようともしている。
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