廃食油リサイクルと次世代環境教育で、地域の未来を創る
道路分野からカーボンニュートラルを推進し、循環型社会やネイチャーポジティブの実現を目指す田中鉄工。環境課題にどのように向き合い、事業につなげてきたのか。そして、なぜ今、環境教育が必要なのか。

村田 満和(田中鉄工 代表取締役CEO)
廃食油を活用し、道路に還元
田中鉄工は、佐賀県に本社があるアスファルトプラントメーカーだ。道路建材であるアスファルト合材の生産に関わる製品・サービスを提供している。
「私たちは地域とともに循環型社会とネイチャーポジティブに貢献し、カーボンニュートラルを実現するというコーポレートメッセージを掲げています。具体的には道路舗装分野におけるカーボンニュートラルの推進を通じ、地域のゼロカーボンへの貢献を目指しています」と代表取締役CEOの村田満和氏は語る。同社は4年前から脱炭素経営に舵を切り、エネルギートランジション戦略を進めている。また、その実現に向けて長年の自前主義から脱却し、産官学連携の共創モデルへとパラダイムチェンジを進めている。
道路分野からの脱炭素の実現には様々な方法があるが、同社は特に燃料転換によるCO₂削減に注力し、その中の1つとして、家庭から出る廃食油の利活用推進に取り組んでいる。
「地域で出た廃食油をその地域の道路に還元するリサイクルを、未来の当たり前にしていきたいと思っています。そのために、廃食油の利活用を通じた官民連携の取組『ロードカルSDGsプロジェクト』を立ち上げました」
同プロジェクトでは、家庭の廃食油をスーパーへ持って行くと油脂会社が回収して精製し、道路会社に燃料として供給。その燃料を使って道路が舗装され、地域に資源が還元される仕組みとなっている。現在20の自治体と取り組んでおり、2025年度は約570㎞の道路舗装に廃食油が使われた。
環境教育は社会実装の加速装置
このような事業を背景にしながら、同社は子どもたちへの環境教育にも力を入れている。ゼロカーボンシティを目指す北海道小樽市では小中学校へ出前授業で環境教育を実施。大牟田市では2025年の夏休みに、廃食油をリサイクルしたエコキャンドル作りの教室を開催するなど、環境教育を通じて、これまで捨てられてきた廃食油が社会に役立つ資源であることを伝えている。
「ただ、こういうイベントは対象数が限られ、一気に広げにくいというのが課題でした。そこで、環境問題についてより多くの小中学校に関心を持ってもらうため、全国3万5000校に配布されている教育本に廃食油のリサイクルについての記事を掲載し、YouTubeの動画も作成しました」
また同社は、コピーライターの登竜門とされる公募広告賞「宣伝会議賞」の中高生部門に協賛企業として参加。2024年度は廃食油のリサイクルを広く知ってもらうアイデア、2025年度はCO₂がいろいろな場面で役立つことをアピールするアイデアを募集した。
「2024年度は山形県の高校生が制作した『僕は油。将来の夢は道路になること。』というキャッチフレーズを選ばせてもらい、今当社のCMで使用しています。キャッチフレーズ作りは、中学校や高校の授業で実施されているところもあり、環境への関心を高める良いきっかけになると思います」
村田氏は、「環境教育は社会実装の加速装置」だと語る。
「環境教育は人の意識を変えるだけでなく、行動を生み、意思決定を後押しします。問題の自分事化によって行動が変容し、それにより社会実装が『例外』でなく『前提』になるのです。そして、やらない理由を探す社会からやる方法を考える社会に変わります。そんな世界が未来の普通になるよう、今後も皆さまと連携し、共創してまいります」
お問い合わせ

田中鉄工株式会社
TEL:0942-92-3121
https://tanaka-iron-works.com/contact
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