和太鼓で伝統文化を体験 太鼓センターが仕掛けるインバウンド戦略と万博への展望
(※本記事は経済産業省近畿経済産業局が運営する「公式Note」に2026年2月6日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

日本独自の打楽器としてお祭りやイベントなどで演奏され、広く親しまれてきた「和太鼓」。そんな和太鼓の演奏を外国人にも体験してもらおうと事業を展開しているのが、京都に本社を構える株式会社太鼓センターです。

今回は同社が手がける外国人観光客向けの和太鼓体験事業について、企画運営を担当されている筧さんにお話をお伺いしました。
(※本記事は、2024年11月に近畿経済産業局ホームページに掲載された内容を一部編集の上再掲したものです。)
和太鼓スクールの合間を活用して始めた和太鼓体験
同社は1988年の設立以来、和太鼓の製造販売、教室事業をメイン事業に据え、和太鼓の総合サービス業を展開してきました。
中でも、和太鼓スクール「TAIKO-LAB」は世界最大級の和太鼓教室で、京都のみならず大阪、神戸、東京にも教室があり、3歳から100歳を超える方まで和太鼓を習うことができます。
ところが、和太鼓スクールは通常、午前中にシニアや主婦向けのクラス、夕方に小学生向けのクラス、そして夜には仕事終わりの社会人向けのクラスを開講しているため、お昼から夕方にかけてスタジオに空き時間が生じるという課題がありました。
そんな時に注目したのが、外国人観光客です。お昼から夕方までの観光の隙間時間に和太鼓の体験をしてもらえないかと思い、2009年にスタジオで体験プログラムを開始したところ見事に成功。そこから和太鼓体験のインバウンド事業が本格的に始まっていきました。
30年以上のノウハウを活かした太鼓指導
和太鼓体験は、通常約1時間程度。
その時間の中で、難しすぎず簡単すぎない曲を一曲仕上げてもらうのがゴールですが、事前に参加者のレベルを知ることはできません。そのため、体験が始まってから参加者のリズム感などを把握する必要があり、教え方や内容はいつも手探りだそうです。

しかしそこで活きてくるのが、これまで30年以上にわたって培ってきた和太鼓指導のノウハウです。老若男女問わずさまざまな生徒を指導してきた講師が担当するからこそ、初めて和太鼓を体験する外国人に対してもその人に合ったレベルでプログラムを進めることができています。
外国人観光客向けの工夫
和太鼓体験は通常各地のスタジオで行われていますが、同社は京都のお寺で和太鼓体験ができる機会も提供しています。


きっかけは、海外から70人程度の団体客が来ることになった時でした。とあるお寺に広い部屋があることを知っていた筧さんは、和太鼓体験にその場所を使えないかとお願いし、初めてお寺での体験を実施したそうです。
結果的に、体験は大好評。そこから、他のお寺にも声をかけはじめ、賛同してくれるお寺の部屋を借りて体験プログラムの拡充を図っています。
お寺の中で和太鼓を演奏するという日本ならではの体験は外国人を魅了し、人気を博しています。
体験内容だけではなく、予約がしやすいことも外国人にとって嬉しいポイントです。公式ホームページには英語ページが整備され、予約システムが確立されています。さらに予約と同時に事前決済をするため、お金のやりとりもスムーズに行うことが可能です。
苦境を乗り越えて
現在まで順調に進んできたように見える外国人観光客向けの和太鼓体験事業ですが、決して順風満帆ではありませんでした。
2011年の東日本大震災の発生や、2020年の新型コロナウイルス感染拡大など、海外からの観光客が激減した時期には、和太鼓体験の予約もほとんどゼロになったと言います。
しかし、2023年5月新型コロナウイルスが5類感染症に移行すると、インバウンド需要は回復。現在はコロナ前よりも予約が増えており、この1年で6,500名以上が体験に参加したそうです。
「自社の和太鼓体験だけでなく、茶道や書道、侍など京都市内の様々な体験コンテンツを組み合わせて紹介するなど、万博を訪れる外国人に向けてたくさん仕掛けをしていきたい。」と筧さんは語ります。
これまで培った揺るぎない太鼓指導のノウハウと、外国人観光客を魅了する積極的な取組。
これらが掛け合わされることによって、今後も和太鼓に魅了される外国人が増えることが期待されます。
元記事へのリンクはこちら。
- 近畿経済産業局 公式note