社会を支える100年企業へ グリーンイノベーション企業の実現を目指す
1944年の創業以来、電力設備、情報通信設備、建築設備の領域でエンジニアリング事業を展開し、日本でも有数の総合設備企業に成長してきた関電工。2044年の創立100周年へ向け、グリーンイノベーション企業へのさらなる変革、成長を目指す。
田母神 博文(関電工 取締役社長)
エンジニアリング力が強みの総合設備企業
カーボンニュートラルへ新製品投入
電力設備と情報通信設備の構築・維持を行う社会インフラ事業と、建物に関する建築設備事業の大きく2つの事業を展開する関電工。それぞれの領域で、独自の技術とノウハウ、工法を駆使する。工事の企画から設計、施工、メンテナンス及びその後のリニューアルまで、一気通貫で行えるエンジニアリング企業だ。
例えばデータセンターなら、建屋の電気設備だけでなく、サーバーを冷やすための空調設備から、電力供給のための高圧ケーブルの敷設工事、非常用発電機の設置まで、幅広く対応する。

文化施設、オフィスビル、工場、ホテル、商業施設、学校、病院など、さまざまな建物の電気設備の新設・増設を手掛ける。既存設備のリニューアルも多い
2025年4月に社長に就任した田母神博文氏は「社会インフラ事業と建築設備事業を一括して対応できることが、当社の大きな強みです」と説明する。
2044年の創立100周年へ向け、脱炭素・レジリエンス社会の実現に貢献するグリーンイノベーション企業を目指す同社。現在走っている「2024~26年度中期経営計画」では、社会全体のカーボンニュートラルに貢献するグリーンイノベーションを中核に位置付ける。
2026年3月には、エネルギーマネジメントシステム「WATTMILL®」の販売を予定している。同製品は、建物や設備のエネルギー使用量を可視化するツールで、電源レス・配線レスで手軽に設置できる。空調制御装置との組み合わせで、電力消費を1分単位で把握し、ピークカットや省エネ制御を行うことで、空調にかかる電力コストを削減。また、室内機の制御により、フロアごとの環境変化にも柔軟に適応。高精度な計測データを活用し、設備の運用改善、設備自体の改修などを提案することで、電気代削減やカーボンニュートラル実現をサポートする。
また、通信・電力インフラがない環境でも、快適で安全な情報・電力サービスを提供する移動通信電源車「KANDENKO V-hub」も開発した。衛星通信と大容量バッテリーを搭載し、長時間の電力供給と安定した通信環境を実現。2026年2月には、茨城県守谷市で開催された守谷ハーフマラソンにて、大会運営に必要な 通信・電源・映像配信の3つの基盤を一体で提供した。

KANDENKO V-hubは、衛星通信を通信手段とし、大型蓄電池と走行時に蓄電池へ充電する機構を搭載した通信電力供給車両。災害時やイベント時の電力・通信供給手段としての活用を目指す
「アン・シン・ヘン・コム」が4本柱
様々な面でのNo.1に
田母神氏は社長就任時、「業界No.1のステージを目指す」と掲げた。
「No.1とは、売上や利益といった数字だけではなく、『業界一、安全・安心に働ける会社』『業界一、若者に選ばれる会社』『業界一、働きやすい会社』など、あらゆる面でNo.1になることを目指していく。その実現に向けて立てた柱が『アン・シン・ヘン・コム』です」。
「アン」は、安全・安心に働き続けられる環境づくりへのコミット。これは、田母神氏の従業員との約束ごとだ。「シン」は信頼。あらゆるステークホルダーから信頼される会社になる。これには、関電工グループ全体、従業員全員で取り組んでいく。
「お客さまはもちろん、取引先や協力会社、メーカー、代理店などに、とにかく誠実に接していく。『シン』については、業界で一番太い柱を立てたいと考えています」。
「ヘン」は変革。変化の激しい時代に、常に変化し続け、高みを目指していく。そして「コム」は、コミュニケーションを表す。
「いい組織には、いいコミュニケーションが必要。報・連・相と言いますが、『相談ごとであふれる会社にしよう』と言っている。こんなことで困っている、こんなことが起きそうだというのを、いつでも上司や同僚に話せる。そんな風通しの良い組織を作っていきたい」。
経営の根幹は人、人間第一に
業界の人手不足に対応
社是に「人間第一」を掲げる関電工。会社のロゴも「人一(ひといち)」を表している。エンジニアリング企業として、経営の根幹、リソースは人。人材こそが最大の財産であり、人を大切にしていかなければ、関電工の仕事は成り立たないと考える。
人手不足がどの業界でも深刻な課題となる中、同社では、採用の多様化を推進。技術職の学部・学科に捉われない採用や女性技術者の採用。キャリア採用を積極的に行うほか、特定技能制度を活用したグローバル人材の採用にも力を入れる。現場でなくてもできることはオフサイトで行うことで、分業体制を確立。年齢、性別、技術系、事務系に関わらず、誰もが仕事を続けやすい環境づくりを進めている。
多様な人材の採用に合わせ、教育システムの多様化にも力を入れる。入社5~6年目の若年層を対象にしたエンジニア研修成果発表会はプレゼンテーション研修で、若手エンジニアがプレゼンを学び、自らの企画をプレゼンする。200数十名のなかから、30~40名が最終の発表会に進む。
社長就任前は、最高戦略責任者(CSO)兼最高人事責任者(CHRO)として経営に携わってきた田母神氏。その当時から、「人間第一」の理想を追求し続けてきたという。
「『人間第一』は当社の企業活動を支える核であり、今後も貫き通していくべき精神だと考えています」。
中期経営計画では、冒頭に「従業員とともに幸せな成長を果たす」と掲げる。
「会社の幸せと従業員の幸せ、どこに力を入れてサイクルを回し始めるか。私は、従業員の幸せを先に考えました。利益を上げてから、それを配分するのではなく、福利厚生・処遇改善をまずやっていく。先に従業員に投資して、幸せのサイクルを回し始める」。
「アン・シン・ヘン・コム」の4つの柱で、業界No.1を目指す。これは、今後も変わらない同社の姿勢。ただ、創立100年となる2044年には、社会の要請は変わっていく。
「設備を『つくる』から、『まもる』時代になっていくと思う。国内では人口が減っていくなか、社会インフラの老朽化が大きな課題。既存の社会インフラと建物について、いかに価値を落とさず使い続けるか。保守・メンテナンスはもちろん、既存インフラを新しいものに取り換える、リニューアルにしっかりと取り組んでいきたい。創業から80年以上、電力・通信・お客様設備を守り続けてきた技術とノウハウ、経験を活かし、新たなソリューションを提供していく。使命感を持って社会を支えていきたいと考えている」。
- 田母神 博文(たもがみ・ひろふみ)
- 関電工 取締役社長