化学大手の持続的成長に向けた戦略 社会課題の解決策が新事業に
積水化学工業は1947年の創業以来、積極的に技術革新に取り組み、社会基盤を支えるさまざまな製品やサービスを創出してきた。現在はペロブスカイト太陽電池の量産に向けた取組や二酸化炭素(CO2)回収・利用(CCU)の技術開発など、人類の諸問題の解決に向けたさまざまな新事業を進めている。
加藤 敬太 (積水化学工業 代表取締役社長)
プラスチック成形・加工から
社会基盤を支えるメーカーに
積水化学工業は1947年、日本を代表する総合化学品メーカーだった日窒コンツェルンを母体として積水産業として設立された。当時は新しい素材だったプラスチックの成形・加工メーカーを目指し、翌年には積水化学工業に社名を変更。経済成長にあわせて積極的に技術革新に取り組み、多様な製品・サービスを生み出してきた。現在はレジデンシャル、ライフライン、エレクトロニクス、モビリティ、ライフサイエンスなど幅広い分野で事業を展開している。
「ごみ処理や住宅不足など、常にその時々の社会が抱える問題を解決するため、新しい製品を出し続けてきました。これが私たちのDNAになっています。将来も持続的に成長するためには、社会課題解決に貢献するイノベーションで、新しいものを出し続けることが重要です」と積水化学工業代表取締役社長の加藤敬太氏は話す。
積水化学グループの企業は現在、155社に上る。その価値創造の土台はグループビジョンに掲げた2つの事業領域である「住・社会のインフラ創造」、「ケミカルソリューション」に関連する6つの基幹技術と、より具体的なソリューションに近い26の技術プラットフォームだ。
「コア技術は世界トップレベルで、常に磨き上げています。例えば、創業時から技術を磨き続けたポリビニルブチラール(PVB)は現在、自動車の合わせガラス用中間膜の主原料で、世界トップシェアです。また、国内で最近特に注目されている技術に、管路更生システム『SPR工法』があります」。
老朽化した下水管の管路更生では従来、下水を止めて道路を掘り返し工事する必要があった。しかし、SPR工法では硬質塩化ビニル製の帯(プロファイル)を老朽管の内側にらせん状に巻きつけて更生管を作り、裏込め材を入れ既設管と一体化して耐震性や耐久性に優れた管路にリニューアルする。このため、道路を掘ったり下水を止めることなく施工でき、周辺地域への影響が少ないほか、工事がシンプルで廃棄物も大幅削減できる。
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