循環型サクラマス養殖に挑むSmolt ブランド養殖魚で世界へ

循環型サクラマスの養殖に取り組む宮崎大学発ベンチャーのSmolt(スモルト)。2019年の創業以来、陸上養殖産業の育成と漁業の持続的発展を目指し、研究分野以外にも人脈を広げてきた。昨年完売した「つきみいくら」など、海外市場でも勝てるブランド魚を種から加工品まで手がけるのが目標だ。

持続可能な養殖生産で
水産業に活気を取り戻す

宮崎大学農学部の内田勝久教授(水圏生物生理学研究室)は、2012年から地元の養殖業者と協力してサクラマスの陸上養殖に関する技術開発に取り組んできた。そして、2017年に内田氏の教え子である上野賢氏(当時、農学部4年生)が学内のビジネスプランコンテストに応募したことを契機に立ち上げたのが、水産ベンチャーの株式会社Smolt(スモルト)だ。「Smolt」は、サクラマスが川から海に降ろうとする時に、体が銀色に変化する銀化現象の学術用語。海で生きていくために自らの体をも変化させるチャレンジブルな姿勢への敬意を社名に込めた。

同社が開発した「循環養殖」とは、海上生け簀で育てた養殖サクラマスを淡水の水槽に移して採卵し、ふ化した仔魚を再び養殖するという手法。もともと淡水魚であるヤマメの体内血液は塩分濃度1%前後に保たれているが、塩分濃度約3.4%の海水にさらされることで、浸透圧の変化に適応しようとホルモンを分泌する。それを「成育を促す信号」と受け止める魚の仕組みを利用し、遺伝子に着目した魚の潜在能力を引き出す生育技術などによって、成育効率の高い品種への改良を行っている。

海上で育てた後、淡水の水槽に移して採卵し、
ふ化した仔魚を再び養殖する

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