脱炭素構想の中核拠点 土浦、大垣から始まる挑戦
脱炭素構想の中核拠点
土浦、大垣から始まる挑戦
土浦市、田中鉄工、事業構想大学院大学の三者は、土浦市域のゼロカーボンシティに向けた産官学連携協定を2025年4月16日に締結。具体的な取り組みとして、6月24日に「ZERO-CARBON TSUCHIURA 事業構想プロジェクト研究」が開講した。
土浦市は2020年に「ゼロカーボンシティ宣言」を表明し、2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロを目指す方針を掲げる。その実現には行政主導だけでなく、民間企業の知見や構想力を取り入れた多様な主体による連携が不可欠。そこで、産官学連携で土浦市域におけるゼロカーボンシティの実現を目指す本プロジェクト研究が発足した。
本プロジェクト研究は、田中鉄工からの企業版ふるさと納税による寄付を活用し、実現した。佐賀県に本社を持つ田中鉄工は、脱炭素社会の実現を経営戦略の中核に据え、バイオマス燃料の活用によるCO₂削減やエネルギーの地産地消に取り組んでいる。本研究を通して、その知見を、持続可能なまちづくりの具現化に活かしていく。
田中鉄工代表取締役CEOの村田満和氏は、「エネルギーの地産地消を軸とした循環型社会の構築を目指し、土浦市の皆様と共に地球環境の保全に向けた実践的な取り組みを進めていきたい。カーボンニュートラルの達成に向けた新たな事業構想が生まれることを心より期待している」と語った。
さらに、岐阜県大垣市でも同様の連携協定が6月26日に締結され、9月のプロジェクト研究開講に向け、7月には市内およびオンラインで説明会が開催される予定である。環境と共生するまちづくりが、全国へと広がり始めている。
土浦市役所にて連携協定締結式を実施。左より、村田満和・田中鉄工代表取締役CEO、安藤真理子・土浦市長、小端進・事業構想大学院大学 専務理事
岐阜県大垣市の国指定名勝「おくのほそ道の風景地 大垣船町川湊」
共同研究会で
広がる視点、深まる構想
事業構想研究所のプロジェクト研究において、研究員同士が研究会の枠を超えて交流し、異業種・異分野の視点からアイデアを深め合うことを目的とした場として、2ヶ月に1回「共同研究会」を実施している。研究員が自らの構想を発表し、他者の視点や専門性からの建設的な意見・提案を受けることで、発想力と構想の解像度を高める機会となっている。
全国の拠点をオンラインでつなぎながら実施され、プレゼンテーション、分科会形式のディスカッションを通じて、多様な価値観や課題認識に触れることができる。研究の中間段階での発表も含まれるため、評価よりも「アイデア脳」の育成を重視し、自由な発言を推奨している。
共同研究会を通して、研究員は研究の視野を広げている。
2ヶ月に1回開催する「共同研究会」は100名以上が参加する
<発表者の声>
地域資源の価値再定義
「TOMINARY」構想
宮城県が全国一の生産量を誇る「セリ」。この地域資源に着目し、富谷市の特産品としてブランド化を目指す「TOMINARY」構想を考えています。
地域に根ざした農産物の価値を再定義し、独自の新規事業に取り組みたいと考えていた時、事業構想大学院大学が仙台経済同友会と提携し、仙台校にてプロジェクト研究を開講することを知り、参加しました。地域にいながらも異なる業界で活躍する企業の方や実務家教員との交流を通じて、実践的な学びを深めています。単なる知識の習得にとどまらず、自身で構想を練り上げることがとても魅力的で楽しいです。
共同研究会では東京校で発表し、異業種の研究員と意見交換できたことが大変有意義でした。あと数ヶ月、さらにブラッシュアップし、アイデアを事業構想として解像度を高めていきたいです。

岡本 敏明(おかもと・としあき)
友美アグリs アグリ事業部 部長
仙台事業構想プロジェクト研究(第1期)
プロジェクト研究
プロジェクト研究は、事業構想大学院大学 修士課程のカリキュラムのエッセンスを活かし、研究参加者の新たな事業構想と事業計画構築を行う1年間の研究会です。
担当教授が1年間を通じて、多彩なゲストを招きつつコーディネートとファシリテーションを行い、研究員の知見を高めながら推進していきます。
プロジェクト研究 概要
研究会:定例研究会(1回4時間、隔週24回開催、共同研究会年6回)等
形式:テーマ型/一社型
目的:新規事業、既存事業の再構築、地域活性などの構想・構想計画構築
定員:10〜15名
主担当教員:事業経験豊富な実務家教員
事業構想セミナー・説明会
セミナー、プロジェクト研究の説明会を実施しています。
ZERO Carbon City OGAKI
事業構想プロジェクト研究
7/14(月)16:00〜、18:00〜(2回開催)
大垣市役所(岐阜県大垣市)