担い手不足・耕作放棄地をDXで解消 スタートアップ3社の発想

農業の担い手不足や耕作放棄地の拡大という課題に、テクノロジーやDXで向き合う日本初のスタートアップが増加している。農林水産省主催のビジコン「INACOME」のファイナリストを中心に、各社の独創的な着想と事業モデルを分析する。

担い手不足をDXで解消

農業の担い手の減少を解消するために、新規就農者の増加の重要性が叫ばれて久しい。農林水産省の統計によれば新規就農者は毎年5万~6万人で安定的に推移している。一方で、総務省の調査によれば、過去4年間で新規就農者の約35%が離農しているという。新規就農者の約7割は生計が成り立っておらず、栽培と経営に課題を抱えていることがわかる。

この課題解決を目指すサービスが、井上寅雄農園(長野県佐久市)が開発した農業界初のスキルシェアサービス「アグティー」だ。悩みを持った農業者がプロ農家や営農指導員、農業資材会社の栽培指導員らに支援を受けられるサービスである。

農業スキルシェアサービス「アグティー」の仕組み

農業は緊急性が高いトラブルが発生しやすいが、そんなときもすぐさまチャットとビデオ通話で全国のプロ農家に相談でき、助言が受けられる。また、指導品種の多さも強みで、野菜・果樹・畜産・経営など100項目以上の相談に対応する。新規就農者が栽培と経営を学べるプラットフォームとして注目を集めている。

2020年末にサービスをリリースし、現在は87名の指導員が参画して全国の農家の相談に対応している。井上寅雄農園は「アグティー」をBtoB向けのオンライン指導ツールとして提案しており、農業法人に導入実績を持つほか、自治体の農業普及指導センターやJAなどで導入検討が進んでいる。農業資材メーカーや農薬・肥料メーカーへも、指導・営業ツールとして拡販していく。

中長期的には、農業者の悩みと解決策をデータベース化し、AIチャットボットで緊急性の高い相談は自動回答する仕組みの構築を目指す。新規就農者の定着や農業の技術承継のためのツールとして大きな可能性を秘める。

農業の担い手不足の解消を目指すもう一つのサービスが、アグリトリオ(愛知県豊橋市)が提供する請負型農福連携プラットフォーム「農Care」である。人手不足に悩む農家と、工賃アップを目指す福祉施設をつなぎ、農作業工程単位で仕事をマッチングするサービスだ。

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