インターネットを軸に作家と読者を直接つなぎ、ヒットを生む

ネットに投稿された小説やマンガの人気作品を世に送り出している出版社、アルファポリス。ネットで作家と読み手を直接つないで売れる作品を発掘し、書籍化、アニメ化やドラマ化も達成した。人々に愛されるコンテンツをいかに発見し、ビジネスにつなげるのか。模索を続けながら、新時代のエンタメ企業を目指す。

 

梶本 雄介(アルファポリス 代表取締役 社長)

インターネット普及すぐから
ネット小説で人気作品を発掘

アルファポリスは、恋愛ものやミステリー、SFやホラーなど、主に娯楽のための小説・マンガを投稿するサイトを運営し、人気作品を書籍化してきた出版社だ。2023年3月時点で、設立からの新刊書籍発行点数の累計は5000点を越えている。同社代表取締役社長の梶本雄介氏が2000年に同社を設立したきっかけは、1990年代の終わりごろから始まったインターネットの一般への普及。この頃から個人でホームページをつくる人が増え、文章や小説がネット上で発表されるようになっていた。

「当時考えていたのは、読者が本当に読みたい本を出版するには、新人賞で選考委員のベテランの作家の判断を仰ぐよりも、ネット上の人気を見た方がよいのではないかということです。そこでインターネットを軸に、人気作品や才能ある作家の作品を出版するビジネスを始めました」。

創業当初のビジネスは「ドリームブッククラブ」の運営だ。作家がサイトに作品を登録・公開し、それをおもしろいと感じた読み手が、購入予約と出版費用への出資をする。実際に出版されて本が売れたら配当を得るというしくみで、クラウドファンディングによる出版の先駆けと言えた。実際にこの仕組みから生まれたヒット作もある。例えば、ドラマ化・映画化された『いま、会いにゆきます』の作者・市川拓司氏のデビュー作で、こちらも2003年に連続TVドラマ化された『Separation』や、2015年にアニメ化されて人気を呼んだ柳内たくみ氏の『GATE』などだ。

「自腹を切ってでも書籍化したいという、熱量のあるファンが多い作品が出版されるモデルで、理論上は良いやり方だと思います。ただ当時の空気として、読み手側にお金を出してもらって出版するというモデルを作家側が負担に感じ始めてしまったんです」。

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り70%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。