アダストリア ファッションを軸に人生に長く寄り添う企業へ

カジュアルファッション大手のアダストリアは、コロナ禍の打撃を受けた業界の中でも比較的ダメージが少なく、主力ブランド「グローバルワーク」「ローリーズファーム」等の自社EC「ドットエスティ」が好調だ。時代の変化の中で、過去4回ビジネスモデルの変革を実行してきた同社の成長戦略と成功要因とは。

福田 三千男(株式会社アダストリア 代表取締役会長)

激変するアパレル業界の中で
4度のビジネスモデル変革

「グローバルワーク」「ニコアンド」「ローリーズファーム」を筆頭に、30超のブランドを持つファッション企業、アダストリア。過去4回ビジネスモデルの変革を行ったという同社の原点は、1953年に水戸市で創業した紳士服小売店だ。会長の福田三千男氏が家業に参画したのは、1971年。ディスカウントスタイルの郊外型紳士服チェーンが主流の中、水戸で空白マーケットだったメンズカジュアルに進出した。これが1度目の事業転換だが、すぐに大成功を収め、10億円を売り上げたという。

しかし、多店舗展開を進めるうちに資金繰りが悪化したため、福田氏は社員を連れてアメリカの小売業視察に向かう。そこでチェーンオペレーションに可能性を見出し、同社は1982年にジーンズカジュアルショップ「ポイント」を開業。リーバイスなどのインポート物の販売店舗を次々と出し、売上を伸ばした。これが2度目の事業転換だが、80年代後半には競合他社が追随し、価格競争が激化。同社は上場を見据えて、90年代に3度目の転換のヒントを再びアメリカに求めた。

「そこで目をつけたのがGAPです。ファッション性と手頃な価格を兼ね備えたGAPのようなブランドは、日本ではニッチだということに気づきました。そこで我々は、百貨店と量販店の中間価格帯である『ファッション・カジュアルの特化』という新戦略を打ち出しました。その第一号として1992年に誕生したのがレディースカジュアルの『ローリーズファーム』です」

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