水を起点に社会を支える 水のインパクトカンパニーを目指す

上下水道を主な事業領域に水コンサルタントとして業界をリードしてきた日水コン。2024年10月、東証スタンダードに上場した。老朽化した管路の更新・維持管理が問題となる中、官民連携の新方式「ウォーターPPP」への取組みを強化する。2025年3月に新社長に就任した中西新二氏に、同社の成長戦略を聞く。

中西 新二(日水コン 代表取締役社長)

水インフラを持続可能に
新しい官民連携の体制に参画

日水コンは1959年、戦後の高度経済成長期に発生した水不足を解決するべく、上水道整備を専門とする建設コンサルタント会社『日本水道コンサルタント』として創業した。その後、水コンサルタントのパイオニアとして、上水道及び工業用水道から下水道、河川へ領域を広げ、1983年に日水コンへ社名を変更。あらゆる水インフラの調査・計画・設計・管理・診断等を手がけてきた。

日本の水インフラ事業はいま、多くの課題を抱えている。高度経済成長期に整備された各地域のインフラ施設が老朽化しているが、技術者の高齢化や人手不足、さらには自治体の財政難で、施設の更新や維持管理が困難な状況にある。2025年1月に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故は、老朽化した下水道管の破損が原因とみられており、大きな社会的関心を集めた。

「下水道の老朽化対策の必要性は指摘されていましたが、大きな事故が起きてしまった。早急に対策を強化する必要があります」と中西氏は話す。

水インフラに関する課題が山積する中で、これまで公共水インフラを中心に事業を展開してきた同社が力を入れるのは「ウォーターPPP」だ。「ウォーターPPP」は、政府が「PPP/PFI推進アクションプラン(令和5年度改訂版)」において示した、官民連携の新しい方式。予算や人的資源が限られる状況下、インフラを持続可能にする方策を模索する中で立ち上がった。2031年度までに水道、工業用水道、下水道で225件の具体的な事業件数をターゲットとし、特に老朽化の進む管路の計画的な更新を進めていく狙いだ。

同制度には、維持管理と更新を一括で民間に委ねる「更新実施型」と、更新は自治体が実施し、更新計画案の策定や更新業務を支援する「更新支援型」がある。

「これまで数多くの公共水インフラに携わる中で培ってきたノウハウや知見を生かし、公共側(発注者側)の発注支援や更新計画策定支援を行う『更新支援型』のアドバイザリー業務を中心に『ウォーターPPP』へ参画していきたいと考えています」。

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