伝統着色技術を革新 「高岡銅器」の可能性を広げる

銅板など金属素材に、薬や炎の力で誰も見たことがないような色彩と紋様を描き出す――。モメンタムファクトリー・Oriiは、「高岡銅器」の伝統を受け継ぎながら、新たな可能性を開拓し、業界を超えて斬新なアイデアを提供し続けている。代表の折井宏司氏に、事業にかける思いを聞いた。

折井 宏司(モメンタムファクトリー・Orii 代表取締役)

高岡の伝統を継承する責任

富山県北西部の高岡市には、長く受け継がれてきた「高岡銅器」の伝統がある。その歴史は、江戸時代初期、加賀前田家が大阪から7人の鋳物師を高岡へ呼び寄せたことに始まる。当初は鉄鋳物が中心で、鍬や鋤などの農具、鍋や釜などの日用品が主力だったが、やがて銅鋳物の生産も行われるようになった。

銅は鉄に比べて加工性が高く、複雑で繊細な形状も表現できる。着色や象眼、彫金といった技法の高度化に伴って、高岡は美術品や仏具をはじめとする銅鋳物づくりの一大産地となり、1867年のパリ万博博覧会でも、高岡銅器は高い評価を得た。今日、全国に残る様々なブロンズ像は、ほとんどが高岡産である。

1950年、この地に創業した折井着色所は、仏像や梵鐘、茶道具や美術工芸品に至る様々な鋳造品の着色を手がけてきた。着色とは塗装ではなく、銅や真鍮など金属素材の腐食性を利用し、薬品や炎の作用で腐食や錆などを発生させ、独特の発色や風合いを創り出す技法を指す。

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