宿泊からアパレルまで 地域新事業で「文化が薫るまち」を守る

「おわら風の盆」で有名な富山県八尾町で、古民家を改装した一棟貸しの宿泊施設や、着物のアップサイクルブランドを展開するオズリンクス。八尾の通年観光地化を目指してさまざまな取り組みを進める代表取締役社長の原井紗友里氏は、「文化が薫るまちを守りたい」と語る。

原井 紗友里(オズリンクス 代表取締役社長)

八尾の「当たり前の日常」を
観光コンテンツに

富山市の南西部に位置する八尾町。人口2万人弱のこの地域は、江戸時代は養蚕で栄え、今も風情ある千本格子や石畳の街並みなどの佇まいが残っている。9月に開催される「おわら風の盆」は300年以上の歴史を持ち、3日間で約20万人(コロナ禍前の実績)が訪れる。

この地で、古民家を改装した一棟貸しの宿泊施設や、着物のアップサイクルブランドを展開するのが2016年創業のオズリンクスだ。代表取締役社長の原井紗友里氏は富山市出身で、大学卒業後、中国・青島の日本人学校で4年間教員を務め、Uターンして富山市のコンサルティング会社に就職。その後、インバウンド事業での起業を目指し、富山県が実施する観光人材育成事業「とやま観光未来創造塾(現・とやま観光塾)」のグローバルコースに1期生として参加した。

「とやま観光塾では美ら地球CEOの山田拓代表に師事し、美ら地球での約半年間の実地研修も経験しました。そこで学んだのは、地域に存在する『当たり前の日常』が、地域の外の人にとっては異日常であり、旅の楽しみになるということです」と原井氏。

「その後、起業に向けて富山県内の様々な地域をリサーチし、暮らしの豊かさが一番色濃かったのが八尾町でした。『風の盆』が有名ですが、家々の玄関に季節の飾りが設えられていたり、夜にまちを歩けば三味線の音色がどこからともなく聞こえてくる。郊外には棚田が広がり、文化と自然のコントラストが美しい。ここで事業をしたいと思いました」

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