大阪関西万博で実証 段ボール展示台が拓く新価値と未来のものづくり共創

(※本記事は経済産業省近畿経済産業局が運営する「公式Note」に2026年3月24日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

万博を支えた展示台-段ボールの新たな価値と未来のものづくりとは

万博会場の西端、フューチャーライフヴィレッジに設置された段ボール製の展示台に見覚えのある人も多いのではないでしょうか。従来の概念を覆す段ボール製の展示台が、会期184日間にわたり万博で活用されました。今回は、その展示台を開発した株式会社高木包装にお話を伺いました。

株式会社高木包装は、奈良県葛城市に本社を置く段ボール製品の設計・製造・販売を行うメーカーです。段ボールケースから内装用美装ケース、パレット、アートデザインまで幅広く手がけています。

共創から生まれた段ボール製の「未来の展示台」

大阪・関西万博では、万博を契機にこれからの日本のくらし(まち)を改めて考え、多彩なプレイヤーとの共創により新たなモノを実現するプロジェクト「Co-Design Challengeプログラム」が行われました。

高木包装は、奈良の地域活性化を目的とする一般社団法人サスティナブルジェネレーションの一員として本プロジェクトに参加。デザイナーや美術大学の学生と共に、強化段ボールの展示台を開発しました。展示台は、半屋外の使用にも耐える強度と、上部にモニターを設置できる耐荷重を確保。側面の“目”をあえて見せる意匠により、素材そのものの魅力も伝えました。また、展示台の半円の形状は今回の万博のシンボルにもなった大屋根リングをイメージしてデザインしたものです。

184日間の会期を大きな損傷なく走り切ったことで、強度と軽量性、再資源化のしやすさという段ボールの強みを万博で実証することができました。

環境にやさしい素材でつくった展示台は、未来社会を考える万博の理念を体現する一台となったのです。

強化段ボールの展示台

遊ぶ・学ぶ・つながる──段ボールが生んだ新しい体験価値

同社は万博会期中に様々なイベントにも参加しました。

2025年4月には「Japan Expo Paris in Osaka 2025」で段DAN相撲を出展。段DAN相撲は、本国フランスで開催されているJapan Expoにも出展しており、現地の若者を中心に好評を得ています。海外メディアにも取り上げられ、国境を越えた交流が、段ボールの新しい価値体験と可能性を広げています。

「Japan Expo Paris in Osaka 2025」での出展の様子
「Japan Expo Paris in Osaka 2025」での出展の様子

また、子ども向けには、工場の生産過程で出た端材をランダムに詰め合わせた「SDKids」を制作し、TEAM EXPO2025共創チャレンジに登録。端材を“教材”に見立て、遊びながら学び、創造力を育むキットとして活躍しています。

今回の万博を通じて、教育という新たな分野へ広がる手応えを得たことは、大きな収穫でした。

SDKids
SDKids
SDKids

“物を運ぶ”という段ボール本来の役割から、触れる人の創造力をかき立てる新たな付加価値の発信へ。万博での経験は、未来につながる重要な一歩になったと代表取締役社長の高木氏は話します。

代表取締役社長の高木氏
代表取締役社長の高木氏

SDGsに向けた取り組み──防災×段ボール

また、高木包装では、段ボール製のパーテーション/簡易ベッド/トイレなど防災グッズにも注力しています。葛城市の協力のもと、熊本地震の際に自社便で製品提供をしたほか、自衛隊とのつながりから現場提供の機会を得て、能登半島地震の際にも提供を行いました。

一方で、保管スペース・価格・競合の増加といった課題もあり、ふるさと納税など多様な流通も試しながら、必要な場所に必要な量を届ける仕組みづくりに挑戦しています。

こうした取り組みが評価され、「奈良県SDGs企業認証制度」でアドバンス企業に選定されています。

簡易トイレ『カワルーノ』
簡易トイレ『カワルーノ』
簡易ベッド『やさし~寝』
簡易ベッド『やさし~寝』

奈良から未来のものづくりへ─新拠点「TKG LAND」

万博での活動を経て、高木包装は新工場を中核とする拠点「TKG LAND」を準備中です。オープンファクトリーの開催、クリエイターとの共創、そして“吉野杉”などの地域資源と都市の創造活動をつなぐ場をめざします。

コンセプトワードは「綯(な)う・NOW」。糸や縄のように、人・技術・地域資源をより合わせ、今(NOW)を動かして未来を編むという想いを込めています。

日本有数の歴史と文化、吉野杉に代表される豊かな自然を有する奈良から、ものづくりの大切さやおもしろさを発信していきます。段ボールの可能性を広げ、よりよい未来を創るために、万博で得た出会いも活かしながら、「今」できることに全力で取り組んでいきます。

TKG LANDイメージ図
TKG LANDイメージ図

いのち輝く未来社会へ─段ボールから生み出される新たな価値

大阪・関西万博で得た経験と出会いを契機に、段ボールの新たな可能性を追求し続ける高木包装。

“ものを包む手段”から“未来をつくる素材”へと進化した段ボールは、教育、文化、地域づくりといった分野にもその可能性を広げています。万博で多くの出展者を支えた展示台のように、高木包装の挑戦は、地域の価値と人々の創造力をつなぐ新たな土台となっていくでしょう。

元記事へのリンクはこちら

近畿経済産業局 公式note