日本企業の新規事業 3社に1社が「消極帯」に位置

AIとデータを活用した事業開発支援を展開するアーキタイプ株式会社は、日本企業の新規事業実行力に関する業界横断調査の結果を公開した。19業種および官公庁・公共機関の計477社を対象とした今回の調査は、株式会社電通マクロミルインサイトに委託し、2026年4月22日から30日にかけて実施されたもので、経営側の方針と現場側の実態を「戦略の具体度」「資源配分の本気度」「判断基準・撤退ルール」「事業化への道筋」「外部活用の姿勢」「データ・AI活用」の6つの軸で測定している。

調査の結果、経営側の推進基盤(30点満点)で25点以上の「先進帯」に位置する組織は12%にとどまった。一方で、15点以下の「消極帯」は33%に達しており、日本企業の3社に1社が新規事業の実行基盤に課題を抱えている現状が浮かび上がった。

AI活用における「現場先行」の逆転現象

特筆すべきは、データおよびAI活用の領域における経営と現場の乖離である。経営側のAI活用方針スコアは5段階中2.76と、本調査12問の設問中で最も低い水準を記録した。これに対し、現場側のAI実装スコアは3.01となっており、477社中の33%で「現場が経営を上回る」逆転現象が確認されている。

AI活用における経営と現場の乖離
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他の5つの軸(戦略、資源配分、ルール、道筋、外部活用)では、いずれも「経営先行」の比率が「現場先行」を上回っている。しかしAI活用においては、経営層がAI戦略を整備する前に、現場担当者が独自に実務へAIを組み込み始めている構造が示された。

一方で、外部活用の姿勢については、経営方針が現場成果より進んでいる「経営先行」組織が33%(477社中)に達した。経営層がスタートアップ連携やオープンイノベーション推進を方針として掲げても、PoCや共同開発といった具体的な事業成果に繋がっていない実態がうかがえる。

408社対象調査 組織を分類の6つのタイプ

組織分類の6タイプ
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アーキタイプは、12問の回答パターンから組織を以下の6タイプに自動分類する独自フレームワークを開発している。分類対象は、477社のうち「推進方針なし」と回答した69社を除いた408社である。

  • 高整合型(116社・28%):経営と現場の認識が高水準で揃う
  • 基盤未整備型(96社・24%):認識は揃うが議論の土台が形成されていない
  • 現場孤軍奮闘型(94社・23%):現場が独自に動くが経営の関与が追いつかない
  • 方針空転型(44社・11%):経営は方針を整備するが現場で動ける粒度になっていない
  • PoC渋滞型(44社・11%):判断基準・事業化の道筋で詰まっている
  • 外向き偏重型(14社・3%):外部連携の方針はあるが現場の成果に至っていない

最大グループの「高整合型」は28%にとどまり、整合していても低水準にある「基盤未整備型」24%と、現場が独自に動く「現場孤軍奮闘型」23%が続く。経営と現場の構造的な詰まりが、半数近くの組織で顕在化している。

業界横断の構造的弱点

20カテゴリ(19業種+官公庁・公共機関)×6軸の平均スコアを集計したところ、データ・AI活用の軸は20カテゴリ中14で軸平均が3.0未満となり、業種を問わない構造的弱点であることが確認された。同社代表取締役社長の菅野龍彦氏は、日本の組織課題は「戦略がない」ことではなく「戦略が現場の実装に届いていない」ことだと指摘し、これを「現場の頑張り不足」ではなく「経営と現場の構造的なズレ」として可視化し、再現性のある仕組みとして制度に落とし込む重要性を強調している。