VR安全教育RiMMで事故を疑似体験 三徳コーポレーションがXRで安全教育
(※本記事は経済産業省近畿経済産業局が運営する「公式Note」に2026年3月11日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

XR※を活用して社会課題の解決に取り組む企業や、大阪・関西万博を契機にXRがさらに広がりを見せる様子に注目する「シリーズ:XRが拓く未来社会 〜万博で見えた可能性〜」
※XRとは、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)、MR(複合現実)といった、現実の物理空間と仮想空間を融合させて、新たな体験を創造する先端技術の総称。
第7回は、VR技術を活用して安全教育を展開している三徳コーポレーション株式会社をご紹介します。
ものづくりから、命を守るVRへ
2025年の大阪・関西万博が掲げるテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。その理念に呼応する動きとして、現場で働く一人ひとりの「いのち」を守るための技術革新も進んでいます。
VRを使って事故の「怖さ」を安全に体験し、未来の労働現場から災害をなくす。そんな万博の理念と共鳴する挑戦を続けているのが、創業から70年以上にわたりものづくりを支えてきた三徳コーポレーションです。
三徳コーポレーションは、1948年に真珠の輸出事業から創業し、その後、工業用ファスナーや電子部品用キャリアテープなど、ものづくりを支える締結技術・電子材料の分野で成長してきた企業です。
長年にわたり、住宅・工業分野へネジや締結部品を届ける一方で、「現場の災害をなくすために自分たちにできることは何か」を模索し続けてきました。その中で、同社は2001年という早い段階からVRの可能性に着目し、情報機器課を立ち上げてVR事業をスタートさせます。
当時はまだVRが一般的ではありませんでしたが、三徳コーポレーションは未来の安全教育に必要な技術だと考え、大学との共同研究や、情報機器に強い技術者の採用を進め、触覚・振動を再現するインターフェース技術を磨いていきました。
こうして、締結部品のものづくりで培った技術的知見と、先駆的に取り組んだVR技術が結びつき、「命を守るためのVR安全教育」という現在の主力事業の一つが生まれました。その中核にあるのが、VR安全教育システム「RiMM」(リム)です。
「怖さ」が教えてくれる大切なこと――VR安全教育システム「RiMM」
RiMMは、事故の場面をVRで体験し、安全に気づく力を育てる学習システムです。ゴーグルによる映像に加え、音や振動(ゆれ)などを組み合わせることで、まるで現場にいるような臨場感を生み出します。感電による痛みも再現し、五感に近い体験を通じて「同じ失敗をしたくない」という気持ちを引き出します。
体験できる内容は、高所からの転落、感電、機械への巻き込まれ、はさまれ、爆発・中毒、つまずき・転倒など、現場で起きやすい出来事。シナリオは140種類以上におよび、工場・建設・物流など多様な職場で活用できます。
これらのシナリオは、電力インフラを80年以上支えてきた高度な技術力を持つ、株式会社かんでんエンジニアリング(大阪市)とも協力し、現場の声を反映しながら作られました。
誰もが安心して学べるよう、刺激の強さを調整する機能や危険な場面の表現を抑える仕組みを用意。VR酔いを軽減する操作しやすい画面づくりや見せ方に加え、リアル過ぎてトラウマにならないようアニメ調の映像を用いるなどの配慮も行っています。これにより、過度な恐怖心や気分不良を避けつつ、必要な「気づき」を得られる体験設計としています。
このようにRiMMは、適切な度合いで「怖い」「嫌だ」という感情を伴う体験にすることで、危険を避ける行動へと結びつけることを目指しています。
広がる導入と、現場からの声
同社のVR安全教育は、すでに複数の企業で活用が進んでいます。現場からは「怖さを体感したことで、命の大切さを再確認できた」「事故を防ぐ具体的方法を自分で考えられるようになった」といった声が寄せられています。同社は今後も、より多くの人に安全教育を届け、「命を守る学び」の輪を広げていくことを目指しています。
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- 近畿経済産業局 公式note