総合物流事業への挑戦 貨物鉄道の新たな利用拡大に挑む

トラックドライバーの働き方改革に伴う物流の「2024年問題」や、2050年のカーボンニュートラルの実現。物流が抱えるこれらの課題解決のカギとなるのが、全国の線路網を使った貨物鉄道輸送の利用拡大だ。現在は少ない貨物鉄道輸送のシェアを高める仕組みづくりには、ビジネスチャンスも存在する。

犬飼 新(日本貨物鉄道〔JR貨物〕代表取締役社長)

鉄道による貨物輸送を担っている日本貨物鉄道株式会社(JR貨物)は、全国ネットワークの貨物鉄道輸送サービスを提供する国内唯一の鉄道会社。1987年の国鉄改革によって、旧国鉄の貨物部門を承継した企業だ。国内の貨物鉄道輸送は、貨物をコンテナに積んで貨物駅間を運ぶ「コンテナ輸送」が主流で、線路を走る貨物列車は沿線の風景の一部になっている。

国内貨物輸送に占める
鉄道輸送の分担率向上が課題

貨物鉄道輸送は特に長距離や大量の輸送を得意とし、二酸化炭素排出量も抑制できる点が特長となっている。一方、近年の国内貨物輸送量における輸送機関ごとのシェアを輸送重量(トン)ベースで見ると、トラック等の自動車が約9割を占め、鉄道輸送は1%程度に過ぎない。

貨物列車は最大26両編成で、10トントラック65台分の荷物を運ぶ。輸送単位当たりのCO2排出量は営業用トラックの約10分の1

他方でトラック輸送に関しては「2024年問題」が懸念されるほか、2050年のカーボンニュートラル社会実現に向けた課題もある。このような中、国土交通省は2022年、「今後の鉄道物流のあり方に関する検討会」を設置。貨物鉄道輸送が役割を発揮するための課題について議論し整理した。

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