エピクロノス 自宅でのセルフ血液検査で病気リスクを判定

昨今、ビジネスキーワードとなっている「パーソナライズド(個別最適化)」がヘルスケア業界にも広がりつつある。岩手医科大学発ベンチャー企業の「エピクロノス株式会社」は、自宅でのセルフ血液検査で病気リスクを判定し、一人ひとりに合った生活習慣の改善などを助言するサービスを開始する。

清水 厚志(エピクロノス株式会社 代表取締役CEO、岩手医科大学医歯薬総合研究所 生体情報解析部門教授 共同発明家[エピゲノム年齢・疾患マーカー])

日本人の血液から
生物学的年齢を「見える化」

人生100年時代を迎え、個人の健康・医療関連データに基づき、一人ひとりに個別最適化された治療を提供する「パーソナライズドヘルスケア(PHC:個別化医療)」に社会的な関心が高まっている。なかでも、がんや生活習慣病領域においてPHCサービスの社会実装を目指しているのが、岩手医科大学発ベンチャーのエピクロノスだ。同社は、微量の血液検査だけで、身体の機能や病気へのリスクを反映させた“生物学的年齢”を判定し、生活習慣の改善や疾患予防に役立てるサービスを、2024年度内を目処にリリースする。

日本抗加齢医学会、日本抗加齢学会共催「第5回ヘルスケアベンチャー大賞」でファイナリストに選出され、ヘルスケアイノベーションチャンレンジ賞受賞(2023年10月27日)

この画期的なサービスの基となる技術は「エピゲノム」の研究から生まれた。「簡単に言えば、エピゲノムとは遺伝子の働きを調整するスイッチのことです。すべての細胞の中には同じDNAが存在しているにもかかわらず、筋肉は筋肉の細胞から、血液は血液の細胞からできているのは、このスイッチがオンになったりオフになったりすることで、個々の細胞の機能を操作しているからです。また、エピゲノムは食事や運動などの生活習慣や喫煙、飲酒、ストレス、薬、老化といった様々な外的要因の影響を受けます。これらによってがん細胞の増殖を抑える遺伝子のスイッチがオフになると、正常な細胞ががん細胞に変化することが分かっています」と岩手医科大学教授で、エピクロノス代表取締役CEOの清水厚志氏は話す。

エピクロノスは岩手医科大学発ベンチャーの第1号認定企業として2023年8月に設立された。設立メンバーは清水氏を中心に、岩手医科大学 医歯薬総合研究所に所属する4名で構成される。そのうち3名は博士号を持ち、エピゲノムとがんマーカーの研究を担当する。もう1名は様々な国内外の上場企業で要職を経験したビジネスに長けた人物で、エピクロノスでは経営戦略とデジタル領域を管掌している。

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