北良 被災地の課題を解決し、「災害に強い社会」の構築に取り組む

岩手県北上市に本社を置く北良は、医療用ガスなどの供給をはじめとするガス事業を主力とし、近年は水循環式システムを利用したシャワーを取り扱うなど防災分野で存在感を発揮。被災地の現場で直面する課題をベースに命を守る数々の防災アイテムを世の中に普及させている。

笠井 健(北良株式会社 代表取締役社長)

東日本大震災をきっかけに
生まれた防災商品

現在、能登半島地震の被災地で、一度使った水の98%以上を循環して利用できる手洗い装置とテント型のシャワー室が活躍している。このシステムは東大発スタートアップのWOTAが開発し、北良は販売を担当。また、 このシステムで使用される移動型給湯器ユニットの製作も担っている。1月3日に現地に入り、ソフトバンクなど協力会社と共に同システムの設置にあたった北良社長の笠井健氏は「現地の自治体と連絡を取りながら、必要な場所に設置し、被災者の方に使い方を教えて自律的に使えるようにすることで、素早く展開することができました」と話す。

北良は1954年に工業向けガス販売で創業し、その後、家庭用プロパンガス、病院や在宅医療向けの酸素ボンベの供給など、ガスを中心に地域に密着しながらサービスを拡大してきた。特にLPガス充填施設は県内最大級で、国指定の災害時中核供給拠点にも認定されている。

防災事業に取り組むことになったのは、2011年3月に発生した東日本大震災がきっかけだ。社員総出で酸素や人工呼吸器を利用している県内外の患者に緊急用酸素ボンベの配布に回るなかで、災害時に生命を守るための多くの課題が見えてきたという。翌2012年には、災害時でも電力不要で長時間かつ安定的に酸素供給が行える可搬式装置も開発した。

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り76%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。