八幡平DMO 「泊食分離」で観光業の改革に取り組む

食や温泉などの観光資源を活かし、「泊食分離」の取り組みを進める八幡平DMO。行政や地域事業者と連携し、インバウンド富裕層を惹きつける仕掛けを次々と生み出している。2023年に同社代表取締役に就任し、“稼げる地域”への転換を目指す寺田匡宏社長に掲げる“観光戦略”について聞いた。

寺田 匡宏(株式会社八幡平DMO 代表取締役CEO)

「株式会社型DMO」として
八幡平の観光業を立て直す

岩手・秋田両県に広がる高原台地の八幡平(はちまんたい)は、豊かな自然環境を活かして、スキー場や温泉、ホテル、ペンションなどが立地する東北有数のリゾート地だ。しかし、バブル崩壊とスキーブームの終焉とともに観光客が激減。一方、受け入れ側の宿泊施設やタクシー、バスでは人材不足が慢性化し、新たなビジネスモデルへの転換が急がれている。

八幡平頂上付近の雪解けの様子が“龍の目”のように見えることから名付けられた「ドラゴンアイ」

そうした中、“外部目線”で八幡平エリアの立て直しを図るのが、八幡平DMO代表取締役の寺田匡宏氏だ。八幡平DMOは、観光庁が2015年に「日本版DMO候補法人登録制度」を創設したことを受けて、2018年5月に設立された観光地域づくり法人。出資者には八幡平市を中心に、DMOのノウハウを持つ地域の民間企業や鉄道会社、バス会社などが名を連ねる。

「一般的にDMOは地域の観光協会が主体となり、非営利法人として地域活性化に貢献することを目指す場合がほとんどです。しかし、八幡平市では観光協会とは別に、株式会社という法人格でDMOを設置することで、従来、観光協会がなかなか取り組めなかった『稼ぐ観光産業』の仕組みづくりを、スムーズな意思決定のもとに進めようということになりました」

そう語る寺田氏は、都市計画・建築コンサルタントとして、25年以上にわたり地方自治体における地方計画の策定や都市再生プロジェクトの企画などに携わった経験を持つ。2011年からはフィリピンで、統合型リゾート事業の企画から事業の立ち上げ業務全般を牽引。2022年8月から岩手ホテルアンドリゾート取締役副会長に、2023年9月からは八幡平DMOの代表取締役社長に就任している。

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