丸三漆器 新ブランドで伝える伝統工芸「秀衡塗」の魅力

1904年(明治37年)創業で今年120周年を迎える岩手県一ノ関市の丸三漆器は、平泉発祥の伝統工芸品「秀衡塗(ひでひらぬり)」の漆器を製造・販売している。近年は新ブランド「FUDAN」も展開し、漆塗りの新たな可能性を追求すると共に、若い世代にも客層を拡げている。

丸三漆器代表取締役社長の青栁真氏

木地作りから加飾まで
すべての工程を自社で

秀衡塗の呼称は中尊寺やその周辺に伝わる「秀衡椀」に基づく。大振りな三ツ椀の入れ子椀である「秀衡椀」では椀の上部に雲形を描き、菱形の金箔が貼られ、草花や吉祥の図柄を配した文様が特徴となっている。その起源は諸説あり、平安時代末期に平泉で栄えた奥州藤原氏第3代当主・藤原秀衡が、京都から職人を招来し、地元の特産だった漆と金をふんだんに使い、器を作らせたのが始まりとの説が有名だ。また、延暦年代(782年~)からこの地を治めていた安倍氏によって、中尊寺裏手の衣川増沢地区で仏具や武具などの漆製品の製造が行われていたという説もある。

今年、創業120周年を迎える丸三漆器の秀衡塗は、初代・清之助の頃から言い伝えられてきた「いい物を造れ」という言葉を守り、木地から加飾まで職人の手で丁寧に作られている。

「漆器作りでは木地作りや下地作り、漆塗り、絵付けなどの工程が分業で行われることが多いですが、丸三漆器はこれらすべてを1社で行っています。その工程は15以上におよび、熟練の職人が手間をかけて丹念に作り上げます」

木地から加飾まで一貫して手掛けるのが丸三漆器の特徴

丸三漆器代表取締役社長の青栁真氏は、こう説明する。丸三漆器の事業では商品開発が主軸で、創業以来、時代の変化や顧客の要望に応え、その製品を変化させてきた。

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