炎重工 水産養殖の完全自動化に挑むロボットベンチャー
炎重工は、ロボット技術と独自の制御システムを主軸とするスタートアップだ。「食糧生産を自動化して、世界の飢えを解決する」をビジョンに掲げ、自律移動式の水上ドローンなどを開発している。水産業の自動化に力を注ぐ代表取締役の古澤氏に、現在の取り組みや今後の事業構想を聞いた。
食糧不足の危機を見据え
水産養殖の完全自動化へ
世界人口の増加による食糧不足が懸念される中、水産養殖の完全自動化に挑む企業がある。岩手県滝沢市に本社を置くベンチャー企業、炎(ほむら)重工だ。水面を自律移動する水上ドローン(船舶ロボット)などのロボット技術と、魚群を誘導・モニタリングする世界初の「生体群制御®」を組み合わせることで、水産養殖の完全自動化を目指している。
炎重工代表取締役の古澤洋将氏は滝沢市の兼業農家の出身。小学生の頃からロボコンのテレビ中継に夢中になり、高校時代にはロボコンに出場した経験を持つ。筑波大学では電気や機械、ソフトウェアなど、ロボット開発に求められる様々な領域について学び、遠隔操作型コミュニケーションロボットの研究に従事。大学院修了後は、ロボットスーツで有名な筑波大学発スタートアップのCYBERDYNE(サイバーダイン)に入社し、医療用ロボット「HAL」の回路設計や組み込みソフトウェアに携わった。そんな古澤氏が故郷の滝沢市に戻り、炎重工を立ち上げたのは2011年の東日本大震災がきっかけだった。
「震災直後、漁師の叔父が暮らす沿岸部を訪れたのですが、その変わり果てた姿に大きな衝撃を受けました。自分の得意な領域を活かして、地元の一次産業に貢献したいと思い、起業を決意したのです」
2013年に退職し、滝沢市へUターンした古澤氏は、すぐには起業せず、個人事業主として企業からの受託開発を請け負いながら、魚群等の生体群制御®というオリジナルの制御システムの研究に勤しんだ。
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