文化と交流から新たな「防災」を生むプロジェクトが宮城で始動

2021年4月、宮城県亘理町で始動した「WATARI TRIPLE C PROJECT」。アーティストやアスリートたちと地域住民との交流を通して文化を築きながら、地域コミュニティを活性化するというこれまでにない防災の取り組みだ。同事業を担うワンテーブル代表の島田氏に、新たなまちづくりの構想を聞いた。

島田 昌幸(ワンテーブル 代表取締役)

東日本大震災の際、町の半分が津波で浸水した宮城県亘理(わたり)町で、防災と文化創造を掛け合わせた新たな取り組みが始まった。「WATARI TRIPLE C PROJECT(ワタリトリプルシープロジェクト)」と名付けられたこの事業は、アスリート、アーティスト、クリエーターら計30人を地域おこし協力隊として雇用し、亘理町で世界を目指して活動しながら、まちづくりに取り組むというもの。主導するのは、宮城県多賀城市に拠点を置くワンテーブルだ。同社代表の島田氏は東日本大震災で被災し、炊き出しなどに駆け回った経験から、世界初の5年間備蓄できるゼリー「ライフストック(LIFESTOCK)」を開発するなど、防災事業に携わってきた。島田氏にとって、「WATARI TRIPLE C PROJECT」はこれまでの防災の在り方を変えようという新しい挑戦だ。

2021年7月に実施された「WATARI TRIPLE C PROJECT」結団式

アートや音楽、スポーツの力を防災に活かす

「これまでの防災は、災害の時に避難所に入ってください、みんなで仲良くしてくださいというあり方でした。その流れを防災訓練で学びますが、実際にはそう簡単に仲良くなれません。災害に限らず、コロナのように突発的に何か困ったことが起きた時に、住民同士が繋がって支え合うことが本当の防災だと思います。そのためにも、日常から地域で関係性を積み上げていくことが必要です」

震災を経験した島田氏は、地域の住民同士の繋がりや地域コミュニティこそが、命を守るセーフティネットになると実感した。そのための手段として、アートや音楽、スポーツを活用しようというのが、このプロジェクトだ。

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