東北大発ベンチャー ISSに代わる衛星プラットフォームを開発

ElevationSpace(エレベーションスペース)は、国際宇宙ステーションに代わる宇宙環境利用プラットフォームを開発する東北大学発のベンチャー企業だ。2021年7月にはMAKOTOキャピタルなどから約3000万円の出資を受けた。将来的には、日本初となる「宇宙ホテル」の建設を目指している。

 

小林 稜平 ElevationSpace 代表取締役/CEO

2024年に運用期限を迎える
ISSの代替サービスを提供

東北大学大学院工学研究科修士2年の小林稜平氏は、同研究科の桒原聡文准教授を取締役/CTOに迎えて、2021年2月にElavationSpace社を設立した。現在は学生と経営者の二足の草鞋を履いているが、来春の卒業後は経営者の道に専念し、主力サービスである小型宇宙利用・回収プラットフォーム「ELS-R」の発展と、宇宙建築物(宇宙ホテル)をつくるという夢に向かって邁進する。

小型衛星プラットフォーム「ELS-R」で打ち上げる衛星のイメージ

「秋田高専に通っていた時に、『宇宙建築』と出合い、興味を持ちました。宇宙建築には、宇宙ステーションのように軌道上に浮遊しているものから、月面基地のように地面に接着しているものまで、様々な形があり、用途も多様です。宇宙建築を通して『誰もが宇宙で生活できる世界を創り、人の未来を豊かにする』のが私の夢です。そして、会社としてのミッションでもあります」(小林氏)

高専卒業後、小林氏は東北大学に編入学し、建築学と宇宙工学を専攻。人工衛星開発プロジェクトや次世代宇宙建築物の研究に従事し、宇宙建築賞で国内最優秀賞を、米国際コンペティション「Mars City Design Challenges 2019」で世界2位を獲得するなどの成果を残す。しかし、未開拓の分野ゆえに、研究開発を続けられる進路は限られていたという。

「大学やJAXAのような機関に研究者として関わるか、会社をつくりビジネスとして関わるかという二択なら、後者かなと思いました。たまたま、最先端の宇宙ビジネスを紹介する東北大学のイベントで、当社のCTOを務めてくださっている桒原聡文先生と出会えたことがターニングポイントになりました」

桒原氏は小林氏が所属する研究室の指導教官ではないが、10機以上の超小型人工衛星を開発・運用したことで、高い技術力を持っていた。宇宙建築を通して誰もが宇宙で生活できる世界を創りたいという小林氏の夢に、桒原氏は共感。出会いから1年以上ディスカッションを重ねて、開発面・ビジネス面で具体的な方向性を固め、2021年2月にElevationSpaceを共同創業した。

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り60%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。