宮城の将来ビジョンと産業 復興の先にある「富県共創」の実現へ

宮城県は「創造的復興」を掲げて東日本大震災からの復興に力を注いでいきたが、震災から10年の2021年度を区切りにして、新たに策定された将来ビジョンへの取り組みがスタートしている。復興のその先にある、宮城県の目指す姿とは。現在の県政の基本姿勢と、同県の産業の特徴をまとめた。

復興の象徴的存在でもある南三陸町の大型観光施設「南三陸さんさん商店街」(左下)。
商店街の隣では震災伝承施設の「南三陸311メモリアル」が建設中で、2022年にオープン予定

震災から10年を経て取り組む
新たな10年ビジョン

2011年3月の東日本大震災発生からの10年間、「宮城県震災復興計画」のもと、同県は被災者の生活再建や公共土木施設の復旧など、復興に向けたさまざまな取り組みを行ってきた。生活インフラにおいては、三陸沿岸道路と鉄道は100%復旧し、災害公営住宅は計画の100%が完成。また、2020年11月には全地区で復興まちづくり事業が完了し、住宅などの建築工事が可能になるなど、災害に強いまちづくりのためのハード面の事業は、その多くが完成の見通しが立っている。一方、被災者の心のケアや地域コミュニティの形成、産業の再生には残された課題も多く、今後も中長期的な支援が必要だ。

同県は2021年4月より、2021年度を初年度とし、2030年を目標年度とする10年ビジョン「新・宮城の将来ビジョン」への取り組みをスタートさせている。同ビジョンは、2007年から取り組む「宮城の将来ビジョン」、東日本大震災からの復興を目指した「宮城県震災復興計画」、少子高齢化などへの対応を目的とする「宮城県地方創生総合戦略」の3つを一つに統合したものだ。「富県共創! 活力とやすらぎの邦づくり」を掲げ、社会や時代の変化を踏まえながら、復興のその先にある宮城県のあるべき姿や目標を示している。

同ビジョンで特に同県が注力しているのが、人口減少対策、子ども・子育て分野だ。他地域と同じく高齢化が進んでいるが、一方で近年は20~29歳の転出超過割合が突出して高く、大学進学や就職のために県外に出た人が地元にも戻らない傾向がある。そこで同県は新ビジョンにおける政策推進の4つの柱の1つとして、「社会全体で支える宮城の子ども・子育て」を新たに立てた。子ども・子育てを社会全体で切れ目なく支援する環境づくりのために、今後は結婚・出産・子育てを応援する環境の整備と、家庭や地域・学校との連携による子どもたちの支援体制構築に注力していく。

公共土木事業の復旧状況(2021年2月)

三陸沿岸道路と鉄道は100%復旧、災害公営住宅は100%完成など、ハード面の事業はその多くが完成。防潮堤や河川施設などを残すのみとなっている

出典:宮城県

 

「新・宮城の将来ビジョン」策定の経緯と計画期間・目標年度

 

2021年度以降の県政運営の理念と基本姿勢

2021年度を初年度とし、2030年を目標年度とする10年ビジョン「新・宮城の将来ビジョン」への取り組みがスタート。2007年から取り組む「宮城の将来ビジョン」、東日本大震災からの復興を目指した「宮城県震災復興計画」、少子高齢化などへの対応を目的とする「宮城県地方創生総合戦略」の3つを1つに統合して策定された。「富県共創」を掲げ、政策推進の4つの柱の1つとして、新たに「社会全体で支える宮城の子ども・子育て」を設定。子ども・子育てを社会全体で切れ目なく支援する環境づくりに注力していく。

出典:宮城県

※月刊「事業構想」2021年4月号掲載の宮城県特集で、宮城県知事 村井 嘉浩氏にインタビュー取材をしています。併せてご確認ください。

 

震災前も含めた過去最高の
観光客数を2019年に記録

東日本大震災後、宮城県の観光客入込数はいったん大きく落ち込んだが、2017年以降は震災前を上回るようになった。県では宮城の食や温泉とともに、被災地や復興商店街をまわって復興の現状を学んだり、語り部から震災体験を聞くなどする「復興ツーリズム」に力を入れてきた。また、震災や原発事故による風評を払拭して外国人観光客の回復を図るため、東北観光推進機構などと連携して、積極的に外国人観光客の誘致に取り組んできた。その成果として、宮城県の観光客入込数は2019年に過去最高を記録し、観光産業は順調に回復しつつあった。

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