灘五郷酒所 灘五郷26蔵の日本酒で地域の魅力を楽しく発信

兵庫県の神戸市と西宮市に位置する西郷、御影郷、魚崎郷、西宮郷、今津郷という5つの地域を灘五郷と呼ぶ。灘は多数の蔵元が点在する日本三大酒所の1つだ。そんな灘の魅力を楽しく伝えていくべく設立された灘五郷酒所の取組みをレポートする。

灘五郷酒所を運営するARIGATO-CHAN代表取締役社長の坂野雅氏(写真右)と、一緒に運営に携わる中野佳子氏

地元ながら知らなかった
日本一の酒所の風土と文化

日本酒は米と米麹と水を原料とする。材料がシンプルな分だけ素材の特性は味を左右し、酒造りが盛んな地域には必ず名水がある。日本三大酒所の1つ、灘では六甲山の花崗岩層を通って湧き出る宮水を仕込みに使用する。宮水とは西宮の水という意味で、ミネラル分が豊富な中硬水はキレのある味わいを生み出す一方で、色や味に影響する鉄分はほぼ含まれず、酒造りに適した奇跡の水とも呼ばれる。

その宮水を育む六甲山は六甲おろしで知られ、山から吹き下ろす寒風は蒸し上がった酒米を冷ますのに適している。また、米作りには豊富な水と粘土質の土壌、そして昼夜の寒暖差が必要だが、六甲山のすそ野には条件に合致する地域が広がる。酒造好適米の山田錦は兵庫県で開発された品種で、生産量日本一を誇る。

灘五郷酒所はそんな灘の日本酒の魅力を伝える拠点として、2022年4月に開業した。立ち上げたのは企画会社ARIGATO-CHANの代表取締役社長、坂野雅氏だ。

灘五郷26蔵の日本酒とと「旬、地元、相性、発酵」をテーマにした食が楽しめる灘五郷酒所

「灘は酒造りに適していた上に、出来上がった日本酒を運搬する海も川もあり、江戸時代には日本酒の8割が兵庫のお酒だったそうです。しかし、私は2009年にUターンで地元の神戸に戻るまで、灘にそんな風土や文化があることを知りませんでした。こんなに素晴らしいコンテンツがあるのだから、その良さや素晴らしさをもっと伝えたいと思ったことが、現在の取組みにつながっています」

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