鶴岡サイエンスパーク 「唯一無二を目指す」が鶴岡モデルの核心
鶴岡市で、全国から注目される研究産業拠点が成長を続けている。慶應義塾大学先端生命科学研究所を起点にSpiberなど10社のスタートアップを輩出し、約600人が集積する鶴岡サイエンスパークだ。地方でゼロから新産業を生んできた歩みとその哲学を、代表理事の冨田勝氏に聞いた。

冨田 勝(一般社団法人鶴岡サイエンスパーク 代表理事)
田んぼしかない地に新産業を
未来へ種をまく決断
鶴岡サイエンスパークは、2001年開設の慶應義塾大学先端生命科学研究所を核に育った、地方発のバイオ産業クラスターだ。当時の鶴岡市は「消滅可能性自治体」にも挙げられた人口12万人規模の都市で、人口減少の危機に直面していた。冨田氏に所長就任の打診が届いたのは開設のわずか半年前。予定地は一面に田んぼが広がるばかりで、研究内容も人事もゼロから任される、白紙からの出発だった。

鶴岡サイエンスパークの全景
「企業や工場を誘致して地方が活性化したとしても、日本全体で見ればプラスマイナス·ゼロです。だから鶴岡は、ゼロから新しい産業をつくる道を選びました」と冨田氏は語る。
その決断を支えたのが、大学の誘致を主導した当時の鶴岡市長、富塚陽一氏だった。市議会では「なぜ私立大学の一研究所に多額の税金を投じるのか」と追及を受けたが、市長の返答は明快だったという。
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