まるはちふくれ菓子店 郷土菓子の伝統を守り、新たな可能性を開拓
南九州に江戸時代から伝わる釜蒸し菓子の「ふくれ菓子」。宮崎県都城市の「まるはちふくれ菓子店」は、この菓子の日本初の専門店だ。同店の生菓子は賞味期限の短さのため、これまで生産体制やスタッフの働き方に課題があったが、近年開発した商品のヒットにより、これらの課題を解決することに成功した。

木下 真一(株式会社まるはちふくれ菓子店 代表取締役)
篤姫も食べた? 南九州に
江戸時代から伝わるふくれ菓子
九州の南さつま地方で、昔から家庭でつくられてきた郷土菓子の「ふくれ菓子」。地域の人々が親しみを込めて「ふくれ」と呼ぶこのお菓子の日本初の専門店が、宮崎県都城市にある。株式会社まるはちふくれ菓子店が運営する「まるはちふくれ菓子店」だ。
「一般的にふくれ菓子というのは釜でつくる蒸し菓子のことで、カテゴリーとしては蒸しパンですが、ここでは和菓子として販売しています。材料は小麦粉、砂糖、卵、水、重曹のほか、旨味成分としてお酢を使うのが特徴です。バターは使わず、昔と変わらないシンプルな材料です。これらを混ぜ合わせて釜で蒸すと、ふっくらとしたふくれ菓子ができます」と代表の木下真一氏は語る。
同社では現在、様々なフレーバーのふくれ菓子を販売している。元来ふくれ菓子は黒砂糖味しかなく、その歴史は100年以上前に遡る。薩摩藩が黒砂糖を年貢に定めていた「黒糖地獄」と呼ばれた時代があり、それをきっかけに黒砂糖の生産が南九州で根付き、多くの黒砂糖を使ったお菓子が生まれた。その一つがふくれ菓子だ。高級菓子というより、庶民が田植え時に食べたり、おばあちゃんが孫につくってあげるような家庭のおやつとして定着した。
全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。
-
記事本文残り76%
月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!
初月無料トライアル!
- 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
- バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
- フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待
※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。