企業を支える世代の人材活用法 「見えすぎた未来」による離職を防ぐ

企業の中核を担い、将来の柱となる存在である働き盛り世代の30代。だが、近年はこの世代の離職率が増加し、人材確保に苦慮する企業も少なくない。NTTコミュニケーションズでキャリアコンサルティング・アドバイザーとして働く大田栄司氏に、その実態と対策について聞いた。

大田 栄司(NTTコミュニケーションズ株式会社
ヒューマンリソース部
キャリアコンサルティング・アドバイザー)

優秀な人材が退職する理由
「見えすぎた未来」とは?

NTTコミュニケーションズの人事部に所属する一方で、法政大学大学院キャリアデザイン学研究科を修了した大田氏は、2023年に日本キャリアデザイン学会の査読誌に論文「30代キャリア中期における離職と残留の選択」を発表した。働き盛りであるこの世代をテーマに選んだ理由については次のように話す。

「1つ目は、近い将来に企業の中核を担う世代として重要だからです。2つ目は、30代は人口減少が始まる世代で、子育て世代としての就労支援が必要とされているからです。3つ目は、30代はこれまで、いわば『放置』されてきた世代と言えるからです。学術的な研究で扱われることが少なく、企業でも20代やベテラン層に対しては世代別の研修があっても30代にはほとんど行われていませんでした」

30代に対する注目度が低かった理由は、20代と異なり組織になじんでおり、評価等の差も明確になる過渡期ということもあって、この層の離職や残留に対する問題意識の低さを挙げる。「ただ、近年は世の中全体で30代の離職が目立ちます。ある企業の退職者データを分析した結果、最も退職者が多かったのが30代でした」と大田氏は語る。

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