分析力を高める 自分だけの「情報処理装置」をつくろう
情報との付き合い方がますます難しくなっている。インターネットで瞬時に大量の情報にアクセスできるが、偏った、もしくは誤った情報も多い。SNSでは特にその傾向が顕著だ。よほど気を付けていなければ、うっかり偽情報に踊らされてしまいかねない。情報の真偽を見極め、分析する力がかつてないほど求められている。その入門編としてぜひ参考にしたいのが本書である。
著者がまず注意を促すのが、断片的な情報は得やすい一方、「情報処理装置」は容易には手に入らないという点だ。ここでいう情報処理装置とは、溢れる生情報を分析する方法、つまり個々の情報が意味することを知る方法のことだ。実は生情報だけではほとんど何の役にも立たない。情報という素材を、目的に応じて「調理」する必要がある。生情報を適切に処理し、意思決定の判断材料になるよう仕立て直すことで初めて価値が生まれる。
ビジネスパーソンであれば、上司やクライアントの要求に応じ、多くの情報を整理してパワーポイントをつくる機会も多いだろう。一定の分析力があると自負している人もいるかもしれない。だが、「頭の中身を可視化するには、パワーポイントを作るだけでは不十分」と著者は断言する。キーワードや図表を並べただけのパワポには、論理構造が必要ないためだ。その代わりに著者が強く勧めるのは、文章としてアウトプットすることだ。何となくわかった気になっていても、文章化しようとする過程で、実は意外とわかっていなかったことに気付けるはずだという。
また、クライアントの課題解決に貢献するためには、求められた通りの情報資料を提示するだけでは不十分なケースが多い。情報分析に携わる人には提案力が求められると著者はいう。なぜなら、情報を求めてきた相手の要求が明確でなかったり、そもそもどのような情報が必要なのか、本人もわかっていなかったりすることも多いからだ。そのため、状況を鑑みて「何をわかっているべきか」という問いを立て、それをもとに「こんなことを分析対象とすべきではないか」などと提案できなければならない。
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