新規事業を育てる経営 目的と場、情熱でダイナモ組織を生み出せ

感染症のパンデミックに大国の軍事侵攻と、世界はもはやVUCAよりさらにカオティックな状態になっている。先々が予測不能な社会で力を持つのは、個人の創造的能力や関係性、ネットワークだ。未来に対して強い目的意識を持ち、ポジティブに変化を実践する人が活躍できる組織づくりが必須となる。

図1 社会・企業・個人の関係が揺らいできた

出典:野中・紺野(2012)『知識創造経営のプリンシプル』

 

個がイノベーションの起点となる時代

いうまでもなく世界は大転換期にある。社会・経済、とくにそのパワー構造が劇的に変化している。20世紀的な国家や企業社会のオーソリティ(威信や信頼)が揺らいでいる。民主主義体制に対して独裁体制国家群のGDPが上回るといった報告もあり、矛盾に聞こえるかもしれない。しかし他方では国家の能力への信頼性低下傾向も見られている。

むしろこれからは、国や社会があって企業があって個人がある、といった同心円が弱まり、個人の創造的能力や関係性(ネットワーク)が力を持つ時代が来ると見たらどうだろうか(図1)。ドラッカーは『イノベーションと起業家精神』(1993)の最終章で、きたるべき起業家社会を暗示した。大企業や革新的技術を持ったイノベーターだけではなく、社会の誰もが起業しえる、アントレプレナーシップ社会が来ると言った。いま学生スタートアップや「ママプレナー」などの活躍を見ると、そのような個人の力からの可能性を感じる。

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