「デザイン経営」の学科を新設 東京理科大の狙い
私学随一の理工系総合大学である東京理科大学は、学部・学科の再編を進めている。その一つが、2021年4月に経営学部に新設する「国際デザイン経営学科」だ。「デザイン」に意欲的に取り組む理由を、岡村総一郎副学長と同学科主任に就任予定の飯島淳一教授に聞いた。
文・矢島進二 日本デザイン振興会 理事
本連載2019年10月号で「デザイン経営」における喫緊の課題は人材の輩出で、デザイン系大学からのアプローチと同時に、経済や商学系大学などからの動きが必要であることに言及した。東京理科大学(以下理科大)は後者であるが、更に新しい道標を示す動きと言えよう。
最初に岡村氏から歴史的な話を伺がった。「本学は1881年に『東京物理学講習所』として創設されました。戦前は全国の中学校、高等学校の理数系教員の半数を輩出した時代もあり、高度成長時代には優秀なエンジニアを多数育成し、技術立国日本を支えてきた自負があります」。一方で、理工系の技術や研究をうまくビジネスや経営に繋ぐ領域は、充分とは言えなかったそうだ。「理科大だから出来得る経営学があると考え、1993年に経営学部を新設しました。現在は経営学科とビジネスエコノミクス学科の2学科を擁していますが、『国際デザイン経営学科』が加わることで、これからの時代に必要な『イノベーションの創出』と『世界をリードしていく国際性』を育成する領域へのアプローチが可能となります」
経営学科が目指すのは、事業全体を俯瞰する力と具体的な経営戦略を立て事業を発展させる力、つまり経営のプロを育成すること。ビジネスエコノミクス学科は、より理系色が強く、金融工学やゲーム理論など数理的なアプローチに強みを持ち、企業意思決定のスペシャリストを育成することが目的だと言う。
さらに岡村氏は言う。「日本で経営というと文系のイメージがありますが、世界的には優れた経営者は理系が多い。これからの経営に必要なのは、日本が弱かった領域、つまり"データに基づく経営手法と科学的な経営"であり、ここをカバーするのが理科大の使命と考えます」
飯島氏も「理科大ならではの科学的思考を基礎として、デジタル技術の基本原理に対する理解を身に付け、さらにデザイン思考で培ったインサイトを読み解く力で、異分野の人たちと協力しながら、解決策が明らかでない課題に、集合知で立ち向かうことができるイノベーションリーダーを養成していきます」と国際デザイン経営学科の設置趣旨を語った。
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