建設現場を変える「建設プロダクト」 ヤマトが進める生産性改革

(※本記事は「関東経済産業局 公式note」に2026年8月3日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

工業化とシステム化で現場を変える!地域を支える中堅企業の挑戦

「中堅の道も一歩から」、中堅企業インタビューも6社目となりました。

今回は、群馬県前橋市に本社を構え、「建設プロダクト」というコンセプトを合言葉に、企画から設計・施工・メンテナンス・管理までワンストップで一貫して行う建設会社、株式会社ヤマトの町田 豊代表取締役社長執行役員に、中堅企業としてのこれまでの歩みや地域との連携、今後の目標についてお話を伺いました。

── 建設業の生産性向上や人手不足への対応が課題となる中、ヤマトはなぜ「現場でつくる建設」を変えようと考えたのでしょうか?

私自身現場からの叩き上げで現場の大変さは誰よりも知っています。建設業は他の産業に比べ生産性が低く、担い手不足も深刻化しており、この課題をどう解決するかは長年の大きなテーマでした。そこで当社は30年ほど前から設備施工会社では先駆的な取り組みである設備加工工場を建設しました。その後も現場での作業を極力減らすため工場を複数設置し、現場では「組み立てるだけ」の仕組みづくりによって、職人の負担を減らし、施工生産性が飛躍的に向上しました。

(左)加工工場、(右)工場内加工の様子
(左)加工工場、(右)工場内加工の様子

さらに3DCGや3DCADなどの3次元ツールを活用し、事前調整などをすることで再加工率1%前後といった高い精度を実現しました。弊社では一連の建設生産システムを「建設プロダクト」と称してシステム化をグループ全体で推進しています。CG活用により、設計段階からイメージを共有できるので、お客様からも好評をいただいています。

(左)温浴施設機械室3DCAD、(右)完成イメージCG
(左)温浴施設機械室3DCAD、(右)完成イメージCG

現在は前橋市内に新たに3.4haの工場用地を取得し、「ヤマトテクノパーク」を建設中です。これは、鉄骨製造の生産性向上と更なる設備施工の工業化を推進する「将来の稼ぐチカラの強化」のための投資です。中長期的には加工品の効率搬送やAI技術の導入による自動設計、遠隔施工などにも発展させていくことも期待しています。

ヤマトテクノパークの鳥瞰イメージ図
ヤマトテクノパークの鳥瞰イメージ図

このような取り組みの背景には、会社創業時の企業理念や成長の歴史、社会課題解決のために独自技術を開発してきた先輩方の想いがあります。「ものづくりを通じて社会貢献する」という考え方は、当社のイズムとして今もなお継承されており、成り立ちが技術者の集団だったこともあって、トップダウンではなく社員一人一人が提案する風土が昔から根付いているからだと思います。

── 建設会社でありながら、御社からは強い「ものづくり」の文化を感じます。その原点となった創業の経緯について教えてください。

軍需産業であった理研工業の技術者が終戦後に平和産業として集まり独立したのがはじまりです。終戦後間もない焼け野で約50人の技術者が集まり、各地で破壊された工場を復興しました。大和工業株式会社として、主に機械・電気・配管の3分野の設備関係の事業に取り組み、農機具の修理から水道工事、電気配線、更に火の見やぐらの建設まで、できることは全て引き受けて戦後復興に尽力しました。

(左)創業当初の写真、(右)本社ビルの写真
(左)創業当初の写真、(右)本社ビルの写真

その後、日本経済の発展に合わせて会社も成長し、1953年に前橋市中心地に新社屋を建設しました。翌年の東京出張所開設を皮切りに関東エリアを中心として営業所を拡大し、1963年には売上高10億円を突破しました。1996年には資本金50億円、1999年には東証1部上場、2025年にはグループ会社11社となり、グループ全体での売上高531億円、経常利益が52億円の組織に成長しました。社会からの要請、お客様からの要望にどうやって応えたら良いのか、ニーズに合わせて創り出すという企業理念は建設業よりむしろ製造業に近いと思います。

── 地域と共に成長して行くためにはどのように成長して行きたいと考えていますか。

現在、2026年~2028年の中期経営計画を推進中です。建設業は、私たちの日常生活に欠かせない基幹産業であり、この事業領域の強化・拡大は持続的な社会の発展には不可欠です。近年、建設業では人口減少社会における担い手不足、資材・エネルギー価格の高騰や異常気象の常態化等、深刻な事業課題を抱えています。このような建設業の宿命への挑戦として私たちは多様化、高度化しているお客様ニーズをしっかり捉え、設計から施工、メンテナンスまでワンストップで提供し、デジタル技術と自社加工工場での施工の工業化を推進する「建設プロダクト」の実践を通じて持続的に成長していく考えです。2035年の長期ビジョンとして「建設プロダクトで、未来を築く~社会課題に先回りして取り組み、価値創造を加速化する~」を掲げ、人と地域・社会の未来に貢献していきます。

「建設プロダクト」は建設業の課題解決のための新たな建設生産システムであり、このシステムを地域事業者と連携して共に成長できれば、地域中堅企業の成長が地域課題の解決や地域貢献につながると考えています。

── 御社はまさに地域でなくてはならない中堅企業だと思います。中堅企業が地域に与える影響や成長することの価値を感じていたら教えてください。

これからの人口減少社会では、東京一極集中だけでなく地域社会の持続的な発展がなければ日本は決して成長していかないと思いますし、そのために地域の中堅企業の存在と成長が不可欠と考えています。地方都市から世界的な大企業が産まれることは良いことですが、グローバル企業になると当然目線は地域から世界に向けられるため、地域社会の課題や成長には目が向きづらくなります。私たちの成長がそのまま地域社会の持続的な成長・発展につながっていくと言っても過言ではないと思っています。

人材確保や企業間の繋がり、情報入手のスピードなどを考えると、都内に本社を開設するメリットもありますが、創業以来、ヤマトは地域とともに成長・発展させていただきました。群馬県に本社を置くことで、地域から必要とされる存在で居続けることがヤマトの存在価値であると考えています。支店がある首都圏や東北地域も同様に地域のサプライチェーンと連携して、地域社会やお客様のご要望にオーダーメイドで対応し共に成長していくことが必要と考えています。

そのため、群馬だけでなく、各支店を展開している地域におけるエッセンシャル企業としての発展を目指しており、地域から必要とされる存在でいたいと考えております。上下水道施設などの社会インフラの整備から維持管理、工場や商業施設などの産業施設整備、地域雇用の創出をはじめ、災害時や異常気象に伴う緊急対応、更に地域振興につながる官民連携事業やお祭り、花火大会などの地域イベント、地元スポーツチームへの協賛など、地域が元気になる取り組みにも積極的に協力しています。例えば、「道の駅まえばし赤城」は、地域に日本一愛される道の駅を目指し前橋市と連携して整備・運営しています。

このように地域社会の発展に貢献するとともに、ヤマトで働く全従業員が幸せを感じる組織づくりと機会を提供していきたいと考えています。現場でつくる建設の在り方を変え続ける挑戦も、その先にある地域社会の発展も、すべては人のためですから。

(左)道の駅まえばし赤城(俯瞰図)、(右)道の駅まえばし赤城(入口)
(左)道の駅まえばし赤城(俯瞰図)、(右)道の駅まえばし赤城(入口)

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関東経済産業局 公式note