キリンと日本製鋼所 PET再生の新技術を実証、2027年再生樹脂50%目標へ前進
キリンホールディングスと日本製鋼所は2026年9月2日、使用済みペットボトルを化学的に分解して原料に戻す「PETアルカリ解重合技術」について、実機設備を用いた実証に成功したと発表した。日本製鋼所の二軸混練押出機「TEXシリーズ」を用い、95%以上の解重合率と、1時間あたり250キロ以上での安定運転を確認したという。量産プロセスを想定した実証は国内初となる。

実証試験で使用した二軸混練押出機TEX® シリーズ
背景にあるのは、キリンが掲げる容器包装の循環戦略だ。同社はグループの環境ビジョン2050で「容器包装を持続可能に循環している社会」の実現を掲げ、プラスチックポリシーでは2027年までに国内の酒類・飲料用ペットボトルに使うPET樹脂の50%を再生樹脂に切り替える目標を示している。目標の達成には再生樹脂を安定して調達できるかが鍵となり、その供給手段そのものを自ら育てる狙いがある。
現在主流の再生手法は、回収したボトルを砕いて再び成形するマテリアルリサイクルだが、色や汚れの影響を受けやすく、飲料用に使える原料は限られる。一方のケミカルリサイクルは、PETを分子レベルまで分解して原料に戻すため品質の劣化が起きにくく、繊維やシートなど非食品用途のPETも原料として取り込める可能性がある。両社は今後、こうした幅広い原料への適用も検証する方針だ。
今回の技術は、加熱だけに頼らず、機械による強い混ぜ合わせや摩擦の力も利用して反応を進める点が特徴で、従来必要だった高温・長時間の反応を避けられるという。開発ではキリンが基礎技術を担い、日本製鋼所が設備設計と操業条件の検討を担当した。日本製鋼所はパーパスに「Material Revolutionの力で世界を持続可能で豊かにする」を掲げ、樹脂機械事業を通じたプラスチック資源循環への貢献を重要課題に位置づけている。
両社は今後、回収から解重合、再資源化に至るプロセス全体の開発を進めるとしている。技術の詳細は、9月に開かれる化学工学会の第57回秋季大会で発表する予定。