うまい棒専用ケースも開発 アクテックが生み出すユニークな「ハコ作り」

(※本記事は経済産業省が運営するウェブメディア「METI Journal オンライン」に2026年7月22日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

大阪府枚方市に本社工場を構える「アクテック」(芦田知之社長)は、オーダーメイドケースの製造・販売を手がける。カメラ専用のアルミケースからスタートした同社。現在では計測機器やドローン、競技用自転車、はてはスナック菓子を入れるための幅広い「ハコ作り」で、顧客の困りごとの解決に取り組んでいる。

本社の入り口に並ぶ色とりどりのアルミケース
本社の入り口に並ぶ色とりどりのアルミケース

オーダーメイドの「ハコ作り」

創立は1972年で、創立当時の社名は「ハクバ写真工業」。一眼レフカメラ用アルミケースの製造を手がけていたが、スマートフォンの普及に伴い、カメラの販売台数は減少。大口の取引先の撤退もあり、カメラ用のアルミケースの売り上げは落ち込んだ。

それでも、カメラケース製造で培った技術で、別の「ハコ作り」に挑んできた。例えば、ドローンなら本体とコントローラーに加え、現場で使用する可能性のある予備のバッテリーや羽根をまとめて一つに保管し、そのまま現場へ運搬することができれば便利だ。芦田社長は「特殊な精密機器など、市販品が見つけられないケースのほか、複数のものを一つにまとめて収納したいという要望に応えるケースを作ることができます。そこが当社の強みであり、最も力を発揮できるところです」と語る。

オーダーメイドできるアルミケースを紹介する芦田社長
オーダーメイドできるアルミケースを紹介する芦田社長
家具メーカーの多い家具町にあるアクテックの本社工場
家具メーカーの多い家具町にあるアクテックの本社工場

測定機器から、大道芸人用、うまい棒の専用ケースまで

工場の生産能力は月産8000台~10000台。注文から1か月以内での納品を実現しているといい、ホームページの「製作事例」には、計測器本体を直接アルミケースに組み込み、現場で開ければすぐに使用することができるようにした製品や、展示会に持ち込めばそのまま展示台になるように工夫した製品など、これまで手がけてきた様々な種類のケースが紹介されている。

ジャグリングで用いる道具を収納できるケースは、全国を行き来する大道芸人・ストリートパフォーマ―の間に口コミで広がり、受注が増えたのだという。競輪の選手からは、競技用の自転車を輸送するためのアルミケースを製作してほしいとの相談を受けた。「縦・横・高さの3辺の合計が200cmまで」というオーダーをクリアするために、営業担当と設計担当が収納方法を検討し、タイヤやペダル、サドル、チェーンなどに分けて、自転車をきれいにケースに収めることに成功した。

大阪府枚方市の本社の玄関にはスナック菓子「うまい棒」専用のアルミケースも展示されている。ゴールドやシルバー、ブラックで装飾されたケースは、1本15円ほどのうまい棒をどんな衝撃からも守り抜く。幼稚園の行事でもらったうまい棒が割れて、悲しんでいる孫の姿を見た社員が製品化したもので、「どんなケースでも作る」という同社の心意気を示す製品になった。

社員のアイデアで製品化された「うまい棒」を入れるアルミケース
社員のアイデアで製品化された「うまい棒」を入れるアルミケース

新しい「ソフトケース」の需要の増加

近年、伸びつつあるのが「ソフトケース」だ。売り上げの割合はアルミケースとソフトケースで「7対3」だが、ソフトケースの売り上げは年々、増加傾向にあるという。

在庫管理などのため、バーコードやQRコードの読み取りとデータ処理の機能を一体化した業務用の携帯端末「ハンディターミナル」の普及により、1台十数万円の端末を守るためのケースが求められるようになった。インターネットの回線工事完了後などに署名をしてもらうためのタブレット端末を持ち運ぶケースもある。使用場面や場所を聞き取りながら、不要な機能は省き、必要な機能だけを残したオリジナルのソフトケースを設計。

素材は合成皮革やナイロンなど多岐に渡るため、製造は協力会社に委託し、注文から1か月半での納品が可能だ。芦田社長は「毎年、新しい製品が出てくる状況のなか、それに合ったケースをすぐに作ることができる。その強みを生かしながら、お客さんが求めるものを形にしていきたい」と話す。

需要が高まっているタブレット端末やハンディターミナル用の「ソフトケース」(アクテックのホームページから)
需要が高まっているタブレット端末やハンディターミナル用の「ソフトケース」(アクテックのホームページから)

「1台から」の注文にこだわり

「1台からオーダーメイド可能」を強調するアクテック。コロナ禍の2021年、父の庄司氏から引き継ぎ、2代目となった芦田社長には、社長就任前の苦い思い出があるという。

アルミケースに対し、ソフトケースは1個から製造するのが採算的に厳しいとの意見があり、「50個から」とのロット制限を設けた時のこと。それまでは月に、少なくとも1件か2件はあった問い合わせがゼロになった。その後も、問い合わせはなく、同様の事態は3か月に及んだという。

「ロット制限が原因だ」。50個の制限を取りやめ、1個からに戻した途端、問い合わせが復活。まとめて100個の注文が入ることもあった。芦田社長は、「困りごとを聞くのが中小企業。門を広く開ければ、100個の注文も500個の注文も入る。とにかく私たちは、1個から作るんだというところをもっと打ち出していく必要があると思いましたね」と振り返る。

組み立てたアルミケースに内装材を貼る作業
組み立てたアルミケースに内装材を貼る作業

子どもたちにものづくり体験を。オープンファクトリーの取り組み

アクテックでは3年ほど前から、ものづくりや製造技術を広く一般向けに公開する「オープンファクトリー」に積極的に取り組んでいる。大阪府枚方市、寝屋川市を中心とした北大阪地域のものづくり企業と一緒に、近郊のショッピングモールで年2回、ものづくり体験ができるイベントを開催。

アクテックは、アルミの端材を使ったカードケースを組み立てられる体験を提供しており、毎回、定員をオーバーし、抽選になる盛況ぶりだという。芦田社長は「子どもの頃にものづくりが楽しかったという経験がなければ、子どもたちにとって、私たちのような会社が将来の就職先の選択肢に入っていくことはないと思う。参加する社員にとっても、自分たちが普段しているものづくりの仕事が特別なものであるということを理解できるいい機会になっている」という。

社名は、業務内容であるALUMINUM CASE(アルミケース)、ACCESSORY(アクセサリー)に加え、積極的な行動を意味する「ACTIVE」の「AC」と、最新の技術集団を目指すとの思いを込めた「TECHNOLOGY」の「TEC」を組み合わせたものだ。芦田社長は「アルミケースやソフトケースだけを売るのではなく、お客さんの困りごとを、ものを作ることによって解決したい。そうした企業を目指していきたいと思います」と語った。

ものづくり体験で子どもたちが製作したアルミのカードケース(アクテック提供)
ものづくり体験で子どもたちが製作したアルミのカードケース(アクテック提供)
「ものづくりを通してお客さんの困りごとを解決したい」と語る芦田社長
「ものづくりを通してお客さんの困りごとを解決したい」と語る芦田社長

【企業情報】
公式サイト ▽代表者=芦田知之社長 ▽従業員数=59人(2025年4月現在) ▽資本金=1000万円 ▽創業=1972年9月

元記事へのリンクはこちら

METI Journal オンライン
METI Journal オンライン