PeopleX シリーズAで54.5億円調達 人事特化LLM基盤「Athena」を発表
人事・営業領域のAIプロダクトを手がけるPeopleX(東京都新宿区)は2026年9月2日、シリーズAラウンドとしてエクイティおよびデットファイナンスにより54.5億円を調達したと発表した。あわせて、人事領域に特化した独自の大規模言語モデル(LLM)と、同社AIプロダクトの基盤となるMotherAI OS「Athena(アテナ)」の開発を発表。IPOを見据え、2031年度に売上高1000億円を目指す中期経営計画を打ち出した。
同社は「PeopleX AI面接」「PeopleX AIロープレ」「PeopleX AI面談」を軸としたAIプロダクトを展開し、イオン、セブン‐イレブン・ジャパン、サイバーエージェント、西日本旅客鉄道など大手企業や地方公共団体への導入を進めてきた。グループ全体での支援実績は3000社を超える。同社のプロダクトはすでに10カ国以上で利用されており、拠点を設けたベトナムに経営チームの一部が常駐するほか、台湾、インドネシア、インド、シンガポール、オーストラリアなどアジア・オセアニア地域を中心に展開を強化していく。
今回の発表の中核となるのが、MotherAI OS「Athena」だ。人事業務の固有性に対応できるAIにより、ハルシネーションなどのリスクを減らす。人事業界に特化したLLMは日本国内の自社環境で運用する「ソブリンAI」として開発し、データ保護やセキュリティ面での安心を訴求する。この「Athena」を土台に、社員・人事部門・顧客それぞれの課題へAIが自律的に解決策を提示する新製品「Personal Brain」「Strategic Brain」「Customer Brain」も発表した。書類選考支援、二次選考以降の面接支援、面接設計を支援する「AI採用コンシェルジュ」、多様なデータを統合・可視化する「PeopleX AIタレントインテリジェンス」など、採用から育成・評価までを一気通貫で支える機能拡充も打ち出している。今後は営業領域の生産性を高めるAIネイティブ製品「PeopleX AIセールス」の提供を近日開始するほか、マーケティング、SDR、BDR、カスタマーサクセスの各領域でも2027年春までに順次リリースを予定している。
第三者割当増資の引受先には、エン、Angel Bridge、オープンアップグループ、WiL、One Capitalが名を連ねた。調達資金は既存プロダクトの全国的なプロモーション(TV・タクシーCMを含む)、新規プロダクト開発、営業網拡大に向けた人材投資に充てる。M&Aも継続する。創業からの2年で、同社はアクティブ・コネクター、ルーセントドアーズなど人材紹介・組織コンサルティング企業3社の全株式取得と2件の事業譲受を実施済み。今回の調達を機に、2031年までに組織コンサルティング、人材紹介、HR Tech、営業関連企業など20社を目安にM&Aを進める方針を示した。今回の資金調達により、2024年4月の創業以来の累計調達額は78.2億円に達した。