ヤマタネ、オリゼ 米麹発酵飲料で米国市場へ、米の新しい用途の創出へ

米卸大手のヤマタネは2026年8月28日、オリゼの子会社化に伴う今後の協業の戦略を発表した。オリゼは米麹由来の発酵甘味料を手がけるスタートアップで、ヤマタネは7月27日、同社の株式を一部取得し、子会社化することを発表している。取得株式数は12万2205株で、議決権所有割合は55%、取得前の保有はゼロだった。

オリゼは2018年5月に設立された企業で、米と米麹のみを原料とする「オリゼ甘味料(米麹発酵糖分)」の開発・製造と、これを用いたグラノーラや米麹調味料などの発酵食品の製造・販売を手がける。資本金は5000万円。砂糖を使わずに自然な甘さを実現する点に加え、古米をアップサイクルできる原料設計や、宇都宮大学との腸内細菌叢に関する共同研究など、フードテック領域の技術資産を蓄積してきた。2023年1月と2024年7月のラウンドで累計6.7億円を調達している。

今回の子会社化におけるヤマタネの狙いはバリューチェーンの拡大にある。背景にあるのは、主食用米の需要が長期的に縮小するなかで日本の米産地の営農をどう持続させるかという構造課題だ。ヤマタネは「産地の『続く』を支える」をスローガンに、多様なニーズに応える販売チャネルの確立と、出口戦略の強化を目指している(月刊事業構想2024年11月号参照)。オリゼとの協業により、米を主食として売るだけでなく、甘味料という新しい用途へ変換し、需要そのものを創出することを期待している。2026年3月期から2028年3月期までの中期経営計画「ヤマタネ2028プラン」でも、従来の精米・卸機能に留まらず、加工・販売機能を強化する方針を明確にしており、今回の子会社化はその実行段階といえる。

オリゼのグループインに伴い、ヤマタネは米を原料にした、健康志向ニーズに応える新たな商品を得られる。またオリゼは全国の産地と結んだ調達ネットワークによって原料(玄米等)調達を効率化できる。両社による取り組みとして、直近ではオリゼの米国事業拡大を推進する計画だ。オリゼは「KOJIPOP」という米麹炭酸飲料を米国で商品化しており、テストマーケティングやユーザーヒアリングを進めている。これは米麹由来の甘みを利用した炭酸飲料で、運動後の回復やオリゴ糖によるプロバイオティクス効果を訴求する砂糖不使用の健康飲料として売り出していく考えだ。