「人への投資」という国家戦略 「構想する力」が拓く、産業人材育成の未来

大きな転換点を迎える日本社会。文部科学省は本年、「高校から大学・大学院等を通した人材育成システム改革ビジョン」を公表し、「文系・理系の分断」からの脱却を打ち出した。一方、経済産業省は17の戦略分野を軸に、スキルの可視化やリスキリング支援を通じて「人的資本経営」を後押しする。
聞き手・ 田中里沙 事業構想大学院大学 学長

 

これまでもGIGAスクール構想をはじめ、両省は政策の大きな転換点で連携して潮流をつくってきた。人材育成政策の最前線に立つ合田哲雄・文科省高等教育局長と畠山陽二郎・経産省経済産業政策局長が「構想する力」をキーワードに、研究と人材育成がこれからの日本にどう貢献できるかを語る。

画一的な競争の終焉をもたらすAI

田中 人口減少とAIの急速な普及の中で、今後日本を支える人材がどんな力を身に付けるべきか、多くの方が悩んでいます。文部科学省と経済産業省も、新しい人材育成のビジョン、考え方を打ち出されました。その背景にある思いをお聞かせください。

合田 哲雄(文部科学省 高等教育局長・兵庫教育大学客員教授)

合田 今、デジタル化や生成AIの飛躍的進化のなかで「構想力」は本当に大事になっています。私は経済産業省の局長でいらした西山圭太さんによる2021年の著書「DXの思考法」に衝撃を受けました。同書が指摘するとおり、デジタル化によりあらゆる社会システムがその軸足をサプライサイドからデマンドサイドに移すなかで、業界や企業ごとに区切られた縦割りの既存の市場において「努力と根性」でシェア争いを勝ち抜くというビジネスがもう無効になったのだと思います。このゲームと裏腹の関係にあったのが、勉強とは子どもたちに「好き」を諦めさせて「嫌い」を強いて総得点を上げるという修行だという発想でしたから、この転換が今求められています。

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