小澤酒造 水と歴史を磨き、地域と共に奥多摩の未来を描く

かつて林業や鉄道、銀行業などを手がけた一族のもとに、最後に残った酒造業。それが、1702年の創業以来、日本酒「澤乃井」を醸してきた奥多摩の小澤酒造だ。2019年に23代目当主に就任した小澤幹夫氏は、「水」を判断基準に事業の選択と集中を進めている。東京の酒蔵が描く地域の未来とは。

小澤 幹夫(小澤酒造株式会社 代表取締役社長)

鉄道業や銀行業も営んだ一族に
最後に残った酒造業

青梅市の多摩川が刻む渓谷沿いに、1702年(元禄15年)創業の小澤酒造がある。清酒「澤乃井」を醸すこの蔵は、小澤家が代々受け継いできたファミリービジネスで、現社長の小澤幹夫氏は23代目にあたる。小澤家のルーツは、この地ではなく山梨にある。

大吟醸や特別純米など澤乃井ブランドを代表する特選酒

「先祖は武田信玄の家臣で、筆頭家臣にあたる穴山一族という家柄でした。戦に敗れれば打ち首の対象ですから、身を隠さなければならない。山梨から峠を越えてこの地に来て、近所の小澤さんから名字をもらい、以来ここで小澤を名乗っています。戦がなければ、今も穴山と名乗っていたかもしれません」と小澤氏は語る。この地に根を下ろした同社は、酒造業だけを営んできたわけではない。材木を扱う林業や、青梅鉄道(現JR青梅線)の経営、全国に地方銀行があった時代には銀行業も手がけた。事業規模でいえば、当時は林業の方がはるかに大きかったという。

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