事業承継、DX、新規事業… 大転換期を迎えるファミリー企業

日本経済の屋台骨を支えるファミリー企業は、事業承継やDX等に対応するための事業再構築、原材料・燃料高への対策など、経営面で多くの課題を抱えている。ファミリー企業の置かれた状況と、ファミリー企業の強みと弱み、政府等の支援政策をまとめた。

図1 後継者不在率の推移(全国・全業種)

出典:帝国データバンク全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)

 

後継者不在率は57%に低下
「脱ファミリー」も加速

創業家メンバーが経営に強く関与するファミリー企業。日本ではトヨタ自動車やサントリーを筆頭に上場企業の半数以上がファミリー企業であり、非上場・中小零細でも多くを占めている。『ファミリービジネス白書』によれば日本企業の実に97%がファミリー企業であるという。

まさに日本経済の屋台骨を支える存在だが、事業承継を筆頭に、社会全体のDX等に対応するための事業再構築、原材料・燃料高への対応など、経営面で多くの課題を抱えている。こうした課題を乗り越え、中小・零細規模のファミリー企業は力強く成長することができるのだろうか。

まず事業承継の現状について見てみよう。帝国データバンクの調査によれば、2022 年の全国・全業種約27万社の後継者不在率は57.2%となった。半数以上の企業に後継者がいない危機的状況ではあるが、コロナ前の2019年から8.0ポイント、2021年の不在率61.5%からも4.3ポイント低下し、5 年連続で不在率は低下している。同社が調査を開始した2011年以降、後継者不在率は初めて60%を下回った。

後継者問題が急速に改善している理由は何なのか。帝国データバンクでは、地域金融機関をはじめ事業承継の相談窓口が全国に普及したほか、第三者へのM&Aや事業譲渡、ファンドを経由した経営再建併用の事業承継など、プル・プッシュ型を問わず事業承継メニューが全国的に整ったことが、後継者問題解決・改善の前進に大きく寄与したと分析している。

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