移住・創業・事業承継の三位一体がカギ 事業承継への自治体関与

事業承継支援は市町村クラスの自治体にとって避けて通れないテーマだが、創業支援と比べて事業承継を支援メニュー化している自治体は少ない。そうしたなかで、移住・創業・事業承継の3つを組み合わせた支援モデルに注目が集まっている。

東北経済産業局と中小機構東北本部は「事業承継支援手引書」を制作・公表する方針

経済産業省の試算によれば、2015年から2025年までの10年間で、245万社の社長が70代に達し、そのうち半数の企業で後継者が未定になるという。これらの企業が廃業すれば、150万人の雇用と22兆円のGDPが失われる計算になり、日本経済に与えるダメージは計り知れない。

残さねばならない産業やサービスはどの地域にも存在するため、市町村レベルの自治体も事業承継に積極的に取り組む必要がある。ただ、事業承継を業務と捉えていない自治体は多く、マンパワーや予算、ノウハウがなく対応できない自治体も少なくない。また、事業承継の対象事業者は商工だけでなく一次産業にも存在するため、どの課が担当すべきか明確でないこともネックになっている。

こうした状況を受けて、東北経済産業局と中小機構東北本部が2022年度からスタートした事業が「自治体関与型の事業承継支援モデルの構築・展開事業」だ。

東北地方では、創業支援を8割の自治体が実施しているのに対し、事業承継支援を実施する自治体は県庁所在地等を除けばごく限られた状態だ。そこで本事業では、自治体が地域の事業承継課題を認識し、自ら支援に取り組み、また地域の支援機関のハブとなるような「自治体関与型」の支援体制モデル構築を目指す。そのために、モデル実証事業の実施や、事業承継支援手引書の作成などを行い、ナレッジの蓄積と効果的な支援形態の横展開を進める。

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