広がるリスキリング支援 7割の企業は「昇給」とセット

人的資本経営の推進においては、従業員のリスキリングも重要な取り組みになる。デジタル人材のリスキリングを支援するパーソルイノベーションは、このほど企業のリスキリングの実態調査を実施。リスキリングが賃上げに繋がっていることなどが明らかになった。

柿内 秀賢(パーソルイノベーション 「学びのコーチ」事業責任者)

リスキリング=企業主体

人材サービスを展開するパーソルホールディングスは、傘下の新規事業開発子会社パーソルイノベーションで法人向けリスキリング支援サービス「学びのコーチ」を提供する。本サービスは、カリキュラム設計とコーチによる学習伴走をワンパッケージで提供し、UdemyやMicrosoftの提供する学習コンテンツを活用しながら、DX人材の新規スキルの習得と定着を支援するもの。キャリアコーチとテクニカルコーチの伴走により、学習継続率は99%(2022年6月時点)に達する。

「学びのコーチ」事業責任者の柿内秀賢氏は、リスキリングの潮流について次のように説明する。

「リスキリングの概念が注目されるようになったのは、2019年の世界経済フォーラム(ダボス会議)でのことです。今後、AIなどの進化とともに、7500万の雇用が失われる一方で、1億3300万の新たな職も創出される。企業が必要な人材を確保するためにはリスキリングが鍵になると同会議では指摘されました」

リスキリングとは、「市場ニーズに適合するために、新しいスキルを意図的に獲得し、自身の専門性を太く、かつ変化に対応できるようにする取り組み」を指す。「リカレントや学び直しが個人主体なのに対して、リスキリングは企業主体です。企業がデジタル人材を中心とした人材不足を補い、変化に順応し、成長していくために不可欠な活動であり、業務として捉えるべきものと言えます」と柿内氏。内部人材を即戦力化する育成、育成を前提とした外部人材の採用など、リスキリングには様々な形がありうる。

岸田政権も2022年10月、「人への投資」の抜本的強化と成長分野への労働の移動を円滑化するために、リスキリング・転職の支援制度や、リスキリングを促進する企業への助成などに5年間で1兆円を投入すると表明。2022年12月には人材開発助成金の「事業展開等リスキリング支援コース」が支援された。「デジタル・DX、グリーン・カーボンニュートラル化、新規事業の立ち上げに関するリスキリングを高助成率で支援するものであり、これら分野の成長を賃上げにつなげていきたいという思惑が政府にはあるようです」

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り62%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。