「データドリブン」が推進のカギ 人的資本調査から見えた課題
HRテクノロジーコンソーシアムなどが実施した「人的資本調査2022」では、人的資本経営を推進する企業の現在地と課題が鮮明になった。特に、データドリブンな人材戦略を実施している企業ほど、人的資本経営で先行していることが明らかになった。
エンゲージメントレベルの
把握等では一定の成果
HRテクノロジーコンソーシアムとHR総研、MS&ADインターリスク総研は、2023年3月、上場・非上場企業280社を対象に行った「人的資本調査2022」の結果を公表した。回答の64%はプライム市場上場企業で、また、79%が従業員数301人以上の大企業だった。
調査結果を見ると、人材戦略の可視化と発信、企業理念やパーパスの具体化、エンゲージメントレベルの把握とアクションといった項目で、企業の取り組みが進んでいることが鮮明になった。
人材戦略の可視化については、議論に経営トップが関与した上で自らの言葉で発信まで行っている企業が過半数を占める。従業員規模が大きい企業ほど割合は高く、特に従業員数5000人以上の企業では8割が実施している。
企業理念やパーパスを設定し、社員の具体的な行動・姿勢のレベルまで落とし込んでいる企業の割合は7割近くにのぼった。
「企業理念やパーパスの具体化は、人的資本経営において重要なポイントです。今後、企業の持続的な価値向上に影響を与えていくためには、企業理念やパーパスの具体化にとどまらず、さらに踏み込んで、社員一人ひとりの“マイパーパス”との重なり合いも意識しながらエンゲージメント向上を目指すなどといった、一方通行ではない社員からの共感を得られるようなパーパス経営を実践していくことも必要になるでしょう」とHR総研主任研究員の久木田亮子氏は指摘する。
エンゲージメントレベルの把握とアクションについては、過半数の企業は把握と改善のためのアクションまで行っており、従業員規模が大きくなるほど割合は高くなっている。
「エンゲージメントレベルは、大企業は社員サーベイの実施で把握しているケースが多いですが、中堅・中小企業の多くは社員との普段の会話やヒアリングからエンゲージメントレベルを把握しているようです。今後は中堅・中小企業でもエンゲージメントレベルを数値でしっかり把握することが求められるでしょう」
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