産業用途がリードする、2023年のメタバース活用

メタバース元年と言われた2022年。バーチャルライフ型メタバースの市場成長が伸び悩んだ一方、産業・ビジネス用途では着実にメタバースの利用が進んでいる。三菱総合研究所は11月にまとめたレポートで「働き方領域」での利用可能性を強調した。

メタバースとは、狭義には「ユーザーが自身のアバターを使ってコミュニケーションや経済活動を行える、インターネット上に構築された3次元の仮想空間」を指す。広義にはVR空間上のプライベート空間や、バーチャルとリアルの融合も含まれて使われることがある。

メタバースが社会の大きな注目を集めるようになったのは2021年頃。特に同年10月にFacebookが社名をMetaに変更し、メタバース事業への1兆円規模の投資を宣言したことが話題になった。他にも大手テック企業やゲーム会社がメタバースへの投資を加速したため、2022年は「メタバース元年」と言われた。

日本では、ゲームファンコミュニティを中心に、徐々にメタバースの利用が広がっている。VR法人を標榜するHIKKYは、アバターなどの3Dアイテムやリアル商品(洋服や飲食物など)をメタバース上で売買できるイベント「バーチャルマーケット」を2018年に開始。2022年夏のマーケットには、開催した16日間でのべ100万人が来場した。国内大手企業もプロモーション等を目的に続々と参画しており、2022年冬のマーケットにはJR東海、三井不動産、ソニー、三井住友フィナンシャルグループなどが出展。さらに省庁としては初めて環境省がブースを出展した。

メタバースイベント「バーチャルマーケット」には環境省が初出展

ただ、バーチャルライフ型のメタバースが社会に広く普及するには相当の時間がかかりそうだ。ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によれば、Metaのメタバース「Horizon Worlds」の2022年10月時点の月間アクティブユーザー数は20万人以下で、2022年内の達成目標として掲げていた50万人を大きく下回る状況だという。同社は11月にメタバース部門も含めた社員1万人以上のレイオフを実施。FacebookやInstagramなどで数十億人のユーザーを抱えるMetaをもってしても、仮想空間にユーザーを誘うことは簡単ではない。

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り63%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。