豊かな産業力と芭蕉が愛した自然 データで見る山形県の強み

三方を山に囲まれた県土は置賜、村山、最上、庄内の4地方に分けられ、それぞれ気候・文化・風土が異なる。農業、商工業がバランスよく成長してきた。統計やランキングから、山形県の今とこれからを分析する。

芭蕉が愛した景色と文化

山形はすべての市町村で温泉が湧き出る、日本唯一の県。その自然の美しさや文化の豊かさは、松尾芭蕉が「奥の細道」の全行程の4分の1を山形で過ごしたことに象徴される。

(1)最上川舟下り(戸沢村)

県を縦断する最上川の中流、最上峡は庄内と内陸部を結ぶ船運の要衝として栄えた。現在は風光明媚な舟下りの名所になっている。

 

(2)山居倉庫(酒田市)

旧庄内藩酒井家が明治26年に建てた巨大な米保管倉庫。米どころ庄内のシンボルであり、現在も農業倉庫として運用される。

 

(3)出羽三山(鶴岡市ほか)

村山・庄内地方に広がる羽黒山、月山、湯殿山の総称で、修験道の山として1400年の歴史がある。今も多くの修験者を集める。

 

(4)銀山温泉(尾花沢市)

江戸時代初期に大銀山として栄えた地域。大正期洋風木造多層の旅館が銀山川の両岸に沿って並ぶ。「おしん」の舞台でもある。

 

(5)山寺(山形市)

正しくは宝珠山立石寺と言い、東北を代表する霊山で紅葉の名所である。芭蕉が「閑さや...」と詠んだことでも有名。

 

(6)花笠まつり(山形市)

赤い花飾りをつけた笠を手にした踊り手が、山形市のメインストリートで群舞する。東北4大まつりの一つで、約100万人が訪れる。

 

(7)蔵王の樹氷(山形市)

特殊な気候条件が織りなす樹氷が群生する、日本でも数少ない場所。樹氷原を走るスキーコースは海外観光客にも人気。

 

(8)カセ鳥(上山市)

鳥の形の藁ミノを被った若者がカセ鳥となる奇習。町を練り歩くカセ鳥に冷水をかけ、商売繁盛と五穀豊穣を祈願する。

 

(9)伊佐沢の久保桜(長井市)

国の天然記念物に指定されている樹齢1200年の桜の巨木。20数カ所の桜の名所をつなぐ「置賜さくら回廊」の見どころの一つ。

 

(10)上杉神社(米沢市)

米沢藩祖である上杉謙信を祀る神社で、米沢城本丸跡に建てられた。藩中興の名君である上杉鷹山も合祀されている。

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武家の歴史香る伝統工芸

天童木工とイッセイミヤケがコラボレーションしたアクセサリー。山形県の伝統工芸は進化し続ける

山形県は伝統工芸品の豊かさで知られるが、その多くに武家のストーリーが息づいている。全国の将棋駒のシェア95%を占める「天童将棋駒」は、幕末に藩財政の窮乏に苦しんだ天童織田藩が家臣の救済策に駒づくりを奨励したのが始まり。上杉鷹山の藩政改革で最大の功績とされる絹織物の産業化でも、武家の子女たちが蚕を飼い、糸を紡ぎ、機織りをして「米沢織」を育てた。庄内の絹産業も、廃藩置県を機に武士たちが刀を鍬に持ち替え、桑畑を開墾したことから始まった(こちらの記事を参照)。

武士たちの想いを受け継ぎ、山形の伝統工芸は進化を続けている。例えば、天童の木工職人たちが立ち上げた天童木工家具建具工業組合(現・天童木工)は、太平洋戦争後、成型合板の技術を日本で初めて取り入れ、高級家具メーカーとして飛躍した。今も気鋭のデザイナーやブランドとのコラボレーションに取り組み、伝統工芸の新しい価値を世に打ち出している。

歴史や地域への誇りや、連綿と続くイノベーションの魂。これは山形県産業の見えざるアドバンテージだ。

山形県の産業構成

農業王国やまがた

 

農業生産額は2352億円(2012年)で全国12位と、前年から3つランクアップ。サクランボを代表格に「果樹王国」として知られるが、米や畜産も成長し、バランスの良い産業構成となっている。

山形の代名詞サクランボ。佐藤錦は高級ブランドとして有名で、台湾など海外にも輸出している

果物の女王と呼ばれる西洋ナシでも生産量ナンバーワン。ゼリーなど加工食品も展開している

2010年にデビューした山形発の米ブランド「つや姫」は短期間で大きくシェアを伸ばしている

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