より細く、より強く、より精密に ステンレス鋼線技術を極める

1951年の創業以来、ステンレス鋼線のトップメーカーとして実績を重ねてきた日本精線。2035年のありたい姿として「ステンレス鋼線No.1カンパニーの地位を継続していく」と掲げる。2026年度までの中計では、社会の要請が大きいサステナビリティ成長分野に注力する同社。強みや成長戦略を聞く。

利光 一浩(日本精線 代表取締役社長)

製造業に不可欠なステンレス鋼線
独自技術で幅広いニーズに応える

主に直径5.5ミリのステンレス線材を引き伸ばし、様々な加工を加えて細くするステンレス鋼線。日本精線は、そのトップメーカーとして、ステンレス鋼線の歴史とともに発展してきた。

髪の毛より細い極細線(左)はコンデンサやタッチパネルなどの生産に欠かせない素材。ステンレス鋼短繊維を焼結することで半導体の生産過程で使用されるフィルターも製造できる(右)

創業当時から手掛けてきた極細線の製造歴は70年以上に及び、現在最も細いステンレス鋼線は9ミクロン。髪の毛の10分の1ほどの細さまで引き伸ばすことができる。

「ステンレス鋼線については、現在22ミリから9ミクロンまでのラインナップを持っています。太いものはステンレスネジやバネの素材として使われるほか、極細線は高精度・高精密を要求される太陽光のソーラーパネルの製造工程で使用されるスクリーン印刷用途などに活用されています」と、同社社長の利光一浩氏は話す。

高い品質を誇る同社のステンレス鋼線は、様々な用途・要求に合わせ加工・製品化。あらゆる産業分野で多面的に利用され、高い評価を得ている。さらに、鋼線をもとに独自技術で開発・製造するステンレス鋼繊維(金属繊維)「ナスロン®」の販売についても、50年以上の歴史を持つ。「ナスロン®」の用途はさまざまだが、高強度、高耐熱で耐食性にも優れることから、合成繊維、フィルム、樹脂、医療などで活躍している。また、ミクロンオーダーのステンレス鋼短繊維を焼結したメタルメンブレンフィルター『NASclean®』は、半導体の生産過程に用いるガスのろ過に使われる。

エネルギーのクリーン化やデジタル化が進むなか、日本精線が生産するステンレス材料に対しても、「より細く、より強く、より精密に」と要求レベルが上がっている。

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