地域ごとの課題に現実的に取り組む 官民、事業者の枠を超えた連携を

地方創生のこれまでとこれからについて、多様な切り口でアプローチする本連載記事。今回は、日本テーマパーク開発の内藤佐和子社長と電脳交通・北島昇取締役COOが対談。持続可能な地方創生、地域交通のあり方や、地方で事業を動かすための仕組みなどについて話し合った。

日本テーマパーク開発は、日本駐車場開発の100%子会社として、テーマパークや遊園地の企画・運営・コンサルティングを行う企業だ。2025年2月から同社の社長を務める内藤佐和子氏は、2020年4月から4年間、徳島市長として、中心市街地の衰退や人口減少に苦しむ同市の活性化に取り組んだ。

電脳交通は、タクシー事業者向けのクラウド型配車システムと、配車業務の受託サービスを手掛ける企業。人手不足で衰退する地域交通の課題解決を旗印に掲げている。同社COOの北島昇氏は新潟県長岡市で生まれ、その後全国25カ所ほどを転々とながら成長した。そこから学んだのは、それぞれの地域が解決すべき様々な課題を抱えているという現実だ。プラクティカルな課題解決に取り組もうと考え、地域交通というテーマに行きついたという。

行政と民間の間に立って
地域の課題を解決する

田中 現在取り組んでいる事業の意義についてご紹介ください。

内藤 日本テーマパーク開発は2016年、三菱地所グループから那須ハイランドパークの事業を買い取りました。テーマパーク運営と別荘販売とホテル宿泊事業の事業成長を果たすとともに、この成功をもって、他の地域に展開しリージョナル・トランスフォーメーション(RX)を目指しています。地域の農家の所得向上を目指し野菜や米を買い上げたり、生物多様性やオフグリッドな社会の実現のためにバイオマス発電を行っています。別荘地では上水道のほぼ100%を耐震管に更新しました。行政、民間の間に立って持続可能なまちづくりの成功例をつくり、共通項は他地域に横展開しつつ、地域固有の課題も解決したいと考えています。

内藤 佐和子 日本テーマパーク開発 代表取締役社長

北島 官と民の間に立つという思いは同じです。地域交通について、移動の利便性だけでなく、QOLを維持する最低限の移動の質を担保しながら事業として成り立たせ、地域における雇用の受け皿の役割も果たしたいと思っています。地域のタクシー会社との連携を強化する必要がありますが、経営者が「自分の会社を変革していくこと、また、統合再編の波に参画していくことの心情を含めた真の難しさ 」などの泥臭い世界とも向き合います。

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